アマゾン買収後のホールフーズの未来 ベゾスが示した重要なヒント

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他の食品チェーンは、米国で高まる有機食品への需要から利益を得ようとしてきた。ウォルマート、コストコ・ホールセール、クローガーといった小売大手は、より低コストの代替商品を提供し、ホールフーズの顧客を奪うことに成功している。こうした企業の勝利要因は、マッキーがホールフーズ経営に当たり下す決断の多くを左右してきた大きな目標に、あまり関心がないことにあった。

有機食品市場で起きるこの「底辺への競争」への参加を渋ったことで、マッキーはウォール街との対立を深めていった。多くの大手投資企業が、ホールフーズの市場シェア低下と事業機会損失への懸念を声高に表明してきた。

それでも、マッキーは自身の立場を変えようとしなかった。先週、米誌テキサス・マンスリーのインタビューで、ホールフーズの売却強要を試みていたヘッジファンドのジャナ・パートナーズを「欲深いやつら」の集まりだと激しく批判している。

ジャナなどの投資企業は、ホールフーズにアマゾンからの申し出を受け入れさせたことで勝利を収めたかもしれない。だが、マッキーがベゾスと協働し、ホールフーズの中核的な価値と理念を犠牲にすることなく会社を成長させることができれば、まだマッキーにとって勝利の可能性はある。

ベゾスは、少なくとも現時点ではその価値を認めているようだ。買収発表後の声明で「最高の自然・有機食品を提供し、健康的な食事を楽しいものにするホールフーズ・マーケットは、何百万人もの消費者から愛されている」と述べている。

もちろん、この姿勢は今後変わる可能性がある。ベゾスは移行期の秩序を保つためにマッキーを利用しているだけで、買収手続きが完了し次第、解任するつもりなのかもしれない。しかしそれまでは、マッキーがトップの座に留まることで、ホールフーズは高級有機食品チェーンのまま存続し、単にウォルマートのウェブサイトと環境意識を改善したような企業にはならないことを示している。

編集=遠藤宗生

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