アマゾン・ドット・コムが書籍販売以外の分野に裾野を広げて以来、ジェフ・ベゾス率いる同社はさまざまな業界を次々と破壊していった。今度は食品業界がターゲットのようだ。
しかし、従来の食品小売業の株式が低迷する中、ベゾス指揮下の新生ホールフーズの全容については、さまざまな臆測がまるで鍋の中の有機レンズ豆のように渦巻いている。
アマゾンがホールフーズを変えるのか、ホールフーズがアマゾンを変えるのか?ホールフーズの食品はアマゾンを通して直接消費者の玄関に届けられるようになるのか?それともホールフーズは、理想的な購買層が住む地域でのアマゾンの実店舗形態での販売拠点となるだろうか?アマゾンは価格引き下げのためホールフーズの品質を落とすだろうか?それともその強力な物流網を活かし、品質を犠牲にせず価格を削減するだろうか?
こうした疑問の答えを知る人は、ジェフ・ベゾスら上層部以外ではまだほとんどいない。彼ら自身も、これから長い時間をかけて答えを出すのではないだろうか。しかしベゾスは、一つの重要なヒントを提供した。ホールフーズのジョン・マッキーを最高経営責任者(CEO)の職に残すという決断だ。
マッキーCEOは、ホールフーズがテキサス州オースティンでヒッピーの自然食品店として創業した時代から経営を担っており、高品質な有機食品を大衆に届ける同社の本来の理念を固く信じている。
2013年に出版された共著『世界でいちばん大切にしたい会社 コンシャス・カンパニー』の中でマッキーは、自身の哲学が会社と共に進化を遂げてきた経緯を説明している。
フォーブスの取材に応じたマッキーは、同書の原題である「コンシャス・キャピタリズム(意識の高い資本主義)」について「企業が常に高い目的意識に基づいて行動するようにすることで、世界により良い影響を与えるようにするビジネスの考え方」と説明している。
ホールフーズの場合、常に保持してきた高い目的意識は、持続的な農業と健康的で高品質な食品だった。