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フォーブスジャパン 副編集長/シニア・ライターㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ

Vassamon Anansukkasem / Shutterstock.com

もう「地方再生」するという呼び方はやめたらどうだろう。なぜなら、日本の未来を先取りする動きが各地で芽吹いており、従来型の地域振興策や、ゆるキャラ、B級グルメ、商店街の活性化に代表される「再生」から、明らかにフェーズが変わってきたからだ。

最大の理由が「人」だ。堂野智史は2003年に産学官民の「関西ネットワークシステム」を立ち上げ、全国の団体と連携してきたが、「層が厚くなった」と言う。

「いままで地方のリーダーをリスト化すると、知った人たちがいつも並んでいました。しかし、今回、いたるところで新たなリーダーが頭角を現しています」

なぜ地方で活躍する人が増えたのか。大きな理由に、外的環境と内的環境のふたつの変化がある。まず、外的環境の変化を見てみよう。内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局参事官の村上敬亮は、こんな兆候に注目している。

「内閣府の『プロフェッショナル人材事業』という制度で、1年間に1000人のプロ人材が地方に還流しました。多くは東京の大手企業で働いていた方々。地方で活躍したいと思っている人材は、まだまだたくさん控えている状態です」

新天地に一人旅立つというより、人口減少がリアリティを増してきたこともあり、政府、地元金融機関、人材ビジネスなどが連携。制度と連携機能により、地方に移って活動できるエコシステムが整備され始めたといえるだろう。

また、各地域で起業支援や産業創出支援を行ってきたトーマツベンチャーサポートの前田亮斗はこう話す。

「地方が好きというより、自分が必要とされる活躍の場を求めて、エリートたちが地方に挑戦をしに行っています。そこが従来の地方再生との大きな違いです」

社会実験の場として考えたとき、利害関係者の多い東京では難しい。一方、規模や人々への影響度を測りやすく、乗り越えるべき課題が明確な地方は挑戦しやすい。さらに、「ひとつの地域でモデル化できると、同じ人口規模や同じ課題をもった地域は数多くあるので、モデル地域を横展開しやすい」と、前田は言う。

神山町のグリーンバレー鯖江市鎌倉市や、慶應義塾大学と連携する鶴岡市などに、国内外から視察が多いのも、世界中に似た人口規模や課題の地域が多いからだ。モデル化に成功した立役者は、他の地域に移って指導したり、地域のつなぎ役になったりできる。つまり、ビジネスチャンスが一気に広がる可能性を秘めているのだ。

実はもうひとつ、取材班が全国に飛んで気づいた点がある。それは共通するリーダー像だ。慶應義塾大学SFC研究所所長の飯盛義徳は、「一見、リーダーに見えないような、少し引いた雰囲気の人がリーダーになっているケースをよく見かける」と言う。

「地域づくりというのは、場づくりです。うまく雰囲気をつくり、地域の方々と仲良く議論しながら、人をつなぎ、お互い学びあう場をつくれるのが第一歩。そうして、新しい価値を見いだして、プラットフォームをつくりだしているのです」

聞く耳をもち、価値の再発見ができることが重要。親分肌の性格が求められているわけではない。これもイノベーターを流入しやすくした要因だろう。

次に、「人」の内的環境要因である。それは価値観の変化といっていい。多くの社会起業家を育成してきたETIC代表理事の宮城治男は、地方への人の流れは、「一時的なブームではなく、この20年ずっと伸びている」と指摘する。

「むしろいままで少なすぎた。都会の生活を捨てて地方に移り住むのは、変わり者と呼ばれ、優秀な学生は右へ倣えで大きな組織に入りたがってきた。しかし、そうした生き方に満足しない価値観の層が増えました。そこに東日本大震災が発生し、潜在的可能性を持っていた人たちが、動き始めたのです。被災地には人や資源が集中し、新しい取り組みが行われていますが、この現象は被災地だけでなく、他の地域にも移っていくと思います」

一方、地方在住の人も価値観を変化させている。外国人旅行者が増えて、外の視点が入ることで、自分が住む地域を「捉え直し」することを始めたからだ。

文=藤吉雅春

 

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