ビジネス

2017.06.19

顧客を熟知したベゾスが見るホールフーズ「買収効果」とは何か

アマゾン・ドットコムのジェフ・ベゾスCEO(gettyimages)


そのホールフーズをベゾスが買収する理由は、同社が扱う商品の評価の高さだけではない。同社とアマゾンの顧客層が重複していることにあると考えられる。さらに、ホールフーズの店舗はそれら顧客の「身近に」実際に存在する。

食品配送サービス「アマゾンフレッシュ」にとって、全米の主要都市や大学がある各都市で本格的に事業を拡大していくには、(買収で得られる)シナジー効果が極めて重要だ。

その上、ベゾスは買収に乗り出すきっかけとなり得るものをすでに手にしていた。アマゾンのデータベースには、顧客の氏名やメールアドレスが含まれている。ホールフーズを通じて確保すべき潜在顧客層を、探す必要もなかったのだ。

ただ、残されている大きな、そして重大な疑問点は、商品の価格がどうなるかということだ。例えば同じビタミン剤でも、アマゾンとホールフーズでは10ドルも違う場合がある。今後そのビタミンの価格は、アマゾンで引き上げられることになるのだろうか、それともホールフーズで値下げされるのだろうか?

また、ベゾスは既存のホールフーズの店舗を全て維持する考えなのだろうか?アマゾンの顧客がどれだけいるにせよ、全店舗の営業を継続する必要はあるのだろうか──?

こうした疑問は残るにしても、一つ確実なことがある。それは、ホールフーズで販売されている商品を私たちがアマゾンで購入しているかどうか、ベゾスはとうに知っているということだ。

編集 = 木内涼子

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