同社は6月15日、2016年の通期決算リポートを発表した。売上は2015年の21億5000万ドル(約2834億円)から、52%増の33億ドル(約3700億円)に達した。2014年の売上が12億ドルだったことを考えれば、過去3年間で順調な右肩上がりの成長ぶりとも言える。
世界のストリーミング市場の売上は76億ドルと伝えられており、スポティファイは市場の半分近くを握っていることになる。アップルミュージックやパンドラ、iHeartRadioやTidal等の競合を押しのけてスポティファイは業界1位の座を保っている。
しかし、売上を伸ばしている一方でスポティファイは利益を出せていない。2016年にスポティファイは6億ドル(約670億円)以上の損失を計上した。その額は2015年の2億5800万ドルをはるかに上回る。その損失の増加率は133%に達しているのだ。
財務状況を見ると、同社が資金集めに躍起になっている理由が分かる。ダニエル・エクCEOが率いるスポティファイは昨年、15億ドルの資金をデットファイナンスと転換社債で調達した。また、非公開の資金調達ラウンドも2回実施している。
スポティファイは現在、IPOの準備に入っており、早ければ年内にニューヨーク証券取引所に上場すると見られている。ブルームバーグは先日、同社が上場を控えモルガン・スタンレーとゴールドマン・サックス、さらにアレンアンドカンパニーとアドバイザリー契約を結んだと伝えている。
同社が黒字に転じるのはまだまだ先と誰もが予測する中で、公開企業となることは同社の経営に巨大なプレッシャーを与えることにもなりかねない。