前出の南カリフォルニア大学「Media~」の調査によると、ハリウッドで活動する監督のうち女性が占める割合はたった4%であり、この数字は2007年から変わっていない。また、女性監督は比較的小規模なドラマ作品やコメディに起用されやすい傾向があり、高予算のアクションやスリラー大作に起用されることは稀である。他方、男性監督はすべてのジャンルで活躍している。
「かつてハリウッドには、映画の興行収入を支えているのは主に10代の男性であるという固定観念がありました。実際にはとうの昔に状況は変わっていて、海賊版の影響で興行収入は伸び悩んでいます。しかし業界はいまだに、より多様な観客に向けて作ることの重要性をわかっていないのです」
インディペンデント映画に目を向けると、この10年間にサンダンス映画祭の国内劇映画部門で上映された映画のうち、27.3%が女性監督による作品だった。ただし、女性監督がヒットメーカーに出世するケースは少ない。ジェンキンスは小規模なインディペンデント映画とメジャー大作の断絶を埋めたいと考えている。
「そもそもハリウッド映画に女性の声が反映されていないことが問題です」とジェンキンスは言う。先の調査では、アメリカ映画でセリフのある全登場人物のうち女性は28.7%だった。女性監督による作品では、スクリーンに登場する女性の割合が5.4%上昇する。
サミットに参加した多数の女性リーダーや女性起業家に向かって、ジェンキンスは次のように語った。「世界は変化しています。お金儲けしたければ、(社会の変化に)目を配ることです。女性の観客が多いなら、女性に響く映画を作った方が賢明です」