石焼きイモと軽トラックの「危ない」関係

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なるほど。では、国土交通省に聞いてみよう。同省では軽トラックを「取り外せる荷物を積んだ小型トラック」と定義しているらしい。ところが、車検の時はその「荷物」、つまりバーベキュー釜は外しているから、問題にはならないようだ。車検を通ったら、釜を荷台に戻すのだ。

今度は保健所に聞いてみた。「うちがチェックするのは、石焼きイモなら石とイモだけだね」との答え。そして、「消防署に聞いてみたら」と勧められた。

しかしその消防署には、「ここは建物の火事を扱うところで、車載のバーベキュー釜は管轄じゃぁないな。ちなみに焼き芋軽トラの火災事故は聞いたことないねぇ」と言われ……調査は諦めるしかなかった。
 
色々なところを「タライ回し」にされたが、驚いたことにどのお役所も、部分部分では「規制対象」としているものの、結局あの石焼きイモ軽トラの「完成形」を取り締まる部署はなかった。そして誰に聞いても、なぜ石焼きイモ軽トラが取り締まりの対象になっていないのか、ハッキリと答えてはくれないというより、答えたくなさそうだった。

これこそが、日本が世界に誇る(?)縦割り行政というヤツか。

石焼きイモ軽トラは、法の隙間をくぐってきたノスタルジアなんだな。道路交通法が新しくなっても、このクルマの事故が起きない限り、取り締まる法律は永遠にできないんだろうな……。

これでリサーチが終わったと思っていたら、強烈な疑問が脳裏をよぎった。

あの軽トラは、どこでどうやって給油するんだろう? 薪が燃えているバーベキュー釜を積んだままでは、ガソリンスタンドには入れないだろうから。

文=ピーター・ライオン

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