ウーバーの失墜、シェアリングエコノミー界の汚点に

今年、スペインで行われたタクシードライバーによる"UBER"への抗議活動。同様のデモやストライキは世界各地で行われている。(Photo by Burak Akbulut/Anadolu Agency/Getty Images)


英ブライトンを拠点とする世界のシェアリングエコノミー専門家、ベニータ・マトフスカは、ウーバーが真のシェアリングエコノミーに当たるかどうかに疑問を呈している。

マトフスカは、人と地球を事業の中心とし、コミュニティーの原則を基盤とするシェアリングエコノミー企業の真の価値を、ウーバーは体現していないと批判。「性差別や搾取的行動への言い訳は決して通じない。カラニックの休職は、同社の抜本的改革の始まりに過ぎないことを願う」と語った。

エッカートもこれに同意した上で、企業の悪質な行為は世間の評判に悪影響を与えると指摘。「消費者が懐疑的になることで、シェアリングエコノミー企業はもはや、環境やコミュニティー形成のテーマを強調したブランドメッセージを売り出すことができなくなるだろう」と述べた。

イタリアやハンガリー、デンマークなどでは全面禁止のウーバーだが、ロンドンやパリでは成功を続け、悪評にもかかわらず減速の気配はない。モスクワでも高い人気を集めている。

ウーバーの功績も指摘しておくと、タクシー業界で待ち望まれていた変革の一部を強制的に実現させたことがある。パリでは、タクシー会社がついに空港発着の一律運賃を設定し、相乗りサービスも導入した。

また、ウーバーは技術的ディスラプションの時代における労働の変化を象徴してもいる。マトフスカは「産業革命以来最大の変化が、シェアリングエコノミーにより社会にもたらされていることを示す多くの証拠がある。シェアリングエコノミーは、史上最も重要なビジネストレンドだ」と主張する。

労働法改正が必要

マトフスカは、現行の労働法を改正し、現実を反映する必要があると考えている。「『ギグ労働(単発の仕事を次々請け負う労働形態)』には固有の特徴、ニーズ、そして機会があることを認めつつ、シェアリングエコノミーの労働を可能にし、保護するための新たな労働者区分を作る必要がある」

ウーバーの将来に関して、マトフスカは次のように述べた。「ウーバーには、地球と人に本物の価値を提供するチャンスがある。しかし欧州やその他の国・地域における未来は、同社がその価値を整理できるかどうかに懸かっている」

編集=遠藤宗生

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