世界1千万人の「女子向けPCゲーム」を生んだスウェーデン企業

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スウェーデンのストックホルムに本拠を置くStar Stable Entertainmentは、ユーザーの50%以上が女性という異色のゲーム会社だ。同社は、PCオンラインゲーム「Star Stable」の登録ユーザー数が、全世界で1000万人を突破したことを明らかにした。

ストックホルムには、スパーセルやキングなど世界的なゲーム開発会社が拠点を構えている。Star StableのオフィスはEpicentreという、スポティファイの研究開発部門も入居するビルにある。

Star Stableは、サブスクリプション型のMMORPGだ。月額料金は8.49ドルで、この他にゲーム内課金が発生する。74.99ドルを支払うと終身メンバーの資格が得られる。平均MAUは50万人で、昨年の売上高は1500万ドル(約16億円)を突破した。

CEOのFredric Gunnarsonは「ゲームの熱烈なファンからカップケーキなどのプレゼントがオフィスに届く。これまで勤めたスタートアップでは、皆が経済的な成功を求めて辛い仕事に耐えていた。しかし、Star Stableではお金だけでなく、喜びも大きな報酬となっている」と彼は話す。

Star Stableは、隕石が地球に衝突して誕生した島「Jorvik」を舞台にしたファンタジーRPGだ。Gunnarsonによると、プレーヤーの大半は13歳の女児だが、おばあちゃん世代にも人気だという。ユーザー数は米国、ドイツ、英国、フランス、スカンジナビアの順で多いが、南半球のオーストラリアでもユーザーが増えている。また、ゲームの主人公たちが馬に乗って活躍するため、馬文化が根付いている地域で特に人気が高いという。

創業当時はダメ出しの嵐

Star StableはテレビCMやユーチューブ動画を使って新規ユーザーを獲得している。「我々が最も重点的に取り組んだのは、ソーシャルメディアを通じてファンとコミュニケーションをとり、コミュニティを活性化することだった」とGunnarsonは話す。

急成長を遂げたStar Stableだが、スタート時には周囲から猛反対を受けた。「PCゲームの時代はもう終わったとか、女の子向けゲームなど馬鹿げたアイデアだとか、フリーミアム全盛期にサブスクリプションモデルなど受けるはずがないなど、周囲からの評価は散々だったが、ダメ出しが多いことはむしろチャンスだと前向きに捉えた」とGunnarsonは当時を振り返る。
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編集=上田裕資

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