ビジネス

2017.06.17

視聴者の好みを「先読み」するネットフリックスの強み

pixinoo / Shutterstock.com

1997年、カリフォルニア州のスコッツバレーにある小さな企業が、革新的なビジネスモデルを掲げて創業した。データによってメディアの一般的な利用の仕方を変えようという画期的なアイデアを打ち出したこの企業が、リード・ヘイスティングスとマーク・ランドルフ率いるネットフリックスだ。

宅配DVDレンタルの小規模なネットビジネスから始まった同社の事業は、順調に滑り出した。だが、そこにはジレンマも生まれた。レンタル用の在庫に追加できる新作が不足していたのだ。そこで同社は人気度ではなく、加入者の好みをベースに作品を選び、紹介するアルゴリズムを編み出した。

2006年には、新たに貸し出す作品に占める新作の割合は、30%未満となった。これこそが、高度なコンピューター技術に基づく新たな時代のパワーだ。データ解析と予測モデリングは起業家たちに、強い確信に基づく新たなビジネスモデルの構築を可能にする力を与えたのだ。

そして、ネットフリックスが掲げたアイデアは、どれほどの富を生み出してきただろうか。同社は今年、株式公開から15周年を迎えた。

デジタルマーケティングを専門とするアモビー(Amobee)の主任ブランド・アナリスト、ジョナサン・コーエンはネットフリックスが成功した主な要因について、同社が採用する「消費者を理解するための分析手法」が競合他社より優れていた点を挙げている。さらに、DVDレンタルからストリーミング配信へ移行したことも、同社のそうした強みをさらに前面に押し出すことにつながったと見ている。

集めたデータを活用

ソファでくつろぎながら視聴したい作品のリストをチェックしている時、加入者はネットフリックスのエコシステムのことなど全く意識していない。だが、ネットフリックスはその人がどの作品のあらすじを読んだのか、どのくらいの時間をかけて作品タイトルを閲覧し、結局どの作品を選択し、視聴時間はどのくらいだったのかも記録している。あらゆるネットワーク・データを駆使して、加入者を引き付け、ネットフリックスでの経験をさらに豊かなものにしている。
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編集 = 木内涼子

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