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2017.06.13

ウーバーが緊急会議で決めた「重大決定」 13日に発表へ

トラビス・カラニックCEO (Photo by The India Today Group / gettyimages)

ウーバーの取締役は6月11日、7時間に及んだ会議の末、エリック・ホルダー元司法長官が提出した調査報告書の提言を満場一致で承認した。ホルダー元司法長官と、彼の法律事務所のパートナーであるタミー・アルバラン(Tammy Albarrán)は、ウーバーの依頼を受けて同社の企業文化に関する調査を1か月間に渡って実施していた。

提言内容は、6月13日(現地時間)に社員に共有されるまで公開されないため、現段階でトラビス・カラニックCEOとエミル・マイケル上級副社長の処遇は明らかになっていない。取締役会議長は、声明文の中で次のように述べている。

「ウーバー取締役会は本日、エリック・ホルダー氏とタミー・アルバラン氏と会合を持ち、ホルダー報告書の提言を満場一致で承認した。提言の内容は、6月13日に社員に公表される予定だ」

取締役会は、カラニックを休職させるか検討していたとされ、カラニックの側近であるマイケルに対しては、不適切な言動を理由に退職を勧告していたとされる。

ウーバーは、シリコンバレーで最も好戦的であると同時に、倫理観に欠ける企業として知られている。これまでは、様々な問題が指摘されても取締役会と経営陣は会社を擁護していたが、2月に女性エンジニア、スーザン・ファウラー(Susan Fowler)がセクハラ告発を行ってから潮目が変わった。

セクハラ等の社内告発が215件

ファウラーによると、上司からのセクハラ被害を人事部が黙殺し、他にも多くの女性社員が同じ人物からセクハラ被害を受けているという。彼女の告発により、ハラスメントが蔓延するウーバーの悪しき社風が明るみに出た。

カラニックはファウラーの告発に関する社内調査を約束し、ホルダー元司法長官に職場環境や企業文化に関する調査と改善提言を依頼していた。

ウーバーは、他にも215件ものセクハラ被害などの申し立てについて、法律事務所Perkins Coieに調査を依頼していたが、報告を受けて従業員20名を先週解雇している。ウーバーはその同日、元アップル幹部のBozoma Saint Jamesがチーフ・ブランド・オフィサーに就任したことを明らかにした。

内部調査が進行する中、3月にはカラニックやマイケルなど幹部が出張で韓国のソウルを訪れた際、性的カラオケバーに行っていたことが明らかになった。店内では、女性らは胸に番号札をつけており、男性ウーバー社員らが好みの相手の番号を伝えていたと、カラニックの元恋人のGabi Holzwarthが証言している。

ウーバーは、現在空席となっているCOOとCFOに最適な人材を探している。4年間に渡り財務担当副社長を務めたGautam Guptaは5月31日に会社を去り、サンフランシスコのスタートアップに参画した。

ウーバーは、Guptaが退職する前日に、自動運転車事業の責任者だったアンソニー・レバンドウスキーを解雇した。レバンドウスキーは、アルファベット傘下のウェイモから企業秘密を盗んだとされ、ウーバーはウェイモから提訴されている。ウーバーは、レバンドウスキーが設立した自動運転トラック企業のOttoを2016年8月に6億8000万ドルで買収したが、カラニック自身がこのディールをリードしたとされている。

ウーバーは、他にも多くのトラブルに直面している。今年初めには、ジェフ・ジョーンズ社長が辞任したほか、不正ソフト「Greyball」を使ってサービスが禁止されている地域での摘発を逃れていた疑いで、司法省が刑事捜査を開始している。

編集=上田裕資

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