ウーバーの問題は企業文化ではない

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ウーバーは今、混乱状態にある。評価額700億ドル(約7.7兆円)の同社を率いるCEOのトラビス・カラニックをはじめとする重役たちは、深刻な疑念や疑惑に見舞われている。

問題は、こうした出来事が起こったこと自体ではなく、それがトップ層で起こったことにある。

ウーバーは問題対処のため自社の企業文化の「修正」を模索しており、重役らは自分たちが直面している問題(つまり自分自身)を解消するべく、外部専門家の助けを借りた。

企業文化とは、皆の態度や価値、振る舞い、信念によって構成される。これらの要素が繋がって仕事を作り出す際に生まれるのが企業文化だ。よって、企業文化は直接変えられるようなものではない。変えられるのは、企業文化を決定づける態度や行動の方だ。

企業文化は風土とは異なる。企業文化とは、仕事がどのように達成されているかを示すもので、一方の風土とは、その企業や、特定の上司の下で社員がどのように働いているか、を指す。

あなたが変えるのは文化ではなく、振る舞いだ。振る舞いを変えるには、人々の考え方、つまり何に価値を置き、何を優先するのかを変えなくてはならない。

そのためには、まず全体的な企業のエコシステムの再評価から始めるのがよいだろう。昔のように、高額の給与を与えてモチベーションを向上させる方法は、もはや通用しない。

ビジネス書『Primed To Perform(実行準備完了)』の著者で、「トータルモチベーション」文化の実現を支援するコンサルティング企業ベガ・ファクターの共同創業者、ニール・ドシとリンジー・マクレガーは、今や従業員を動かすのは、目的、遊び、そして可能性という魅力要素の組み合わせだという。

同社がトータルモチベーション文化の実現のため注目する要素には、以下の3つが含まれる。

集団的アウトプット

各チームが個々で業績をあげるだけでは、もはや十分ではない。チームごとの実績に集中するのは、営業、マーケティング、製品開発が会社全体の集合的な能力ではなく、自分たちの勝利や成功だけに集中する縦割り組織と同じだ。グローバル化が進んだ今の世界では、個々の力は全体の能力に劣る。組織の能力を強化したいなら、個人やチームがどうしたらやる気を出せるか考えよう。

よく見られるのは、全体的な能力の強化を求めつつ、個別に報奨を与える、というものだが、これは良くない。営業部を例として考えてみてほしい。部全体として売り上げを伸ばすより、個人的成績を上げた方が高い報酬をもらえるのであれば、メンバーはより良い営業「チーム」ではなく、より良い営業「パーソン」を目指してしまう。
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編集=遠藤宗生

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