アップルの「AR革命」推進ツール、ARKitで見えた理想と現実

Matthew Corley / Shutterstock.com

アップルは先日の開発者カンファレンス「WWDC 2017」において、今秋リリース予定の「iOS 11」で提供されるARプラットフォーム「ARKit」を発表し、ポケモンGOを使ったデモを紹介した。

ARKitは、iPhoneに内蔵されたカメラやセンサーを使って現実の風景を認識し、デジタルオブジェクトを合成する。例えば、現在のポケモンGOではピカチュウが宙に浮いたような不自然な合成となっているが、ARKit対応版では実際に歩道に立っているように表現される。また、的を外れたモンスターボールが歩道を転がっていく様子も非常にリアルに描写され、まるで現実世界にポケモンが現れたような没入感が得られる。

ポケモンGOがARKit対応になったことは評価できるが、課題も指摘されている。一つは、現段階でどれだけのユーザーが高度なAR技術を求めているかということだ。多くのユーザーはポケモンGOのARモードをオフにしてプレイしており、ARKit対応になったからといって状況はそれほど変わらない可能性もある。

ナイアンティックは、もともとグーグルの社内ベンチャーから始まった企業だけに、ARKitのような最新テクノロジーの導入に積極的だ。しかし、一方ではユーザーのニーズを理解するのに絶えず苦労しているように見える。ARKit対応よりも先に、PvP(対人戦)をできるようにするなど、ゲームシステムの改良を優先してもらいたいと考えるユーザーも多いだろう。

また、ARKitはアップルのプロジェクトであり、同じポケモンGOでもiOS版の方がAndroid版よりも洗練されているという状況が生じることになる。

様々な課題はあるものの、ARには多くのテクノロジー企業が関心を寄せており、今後はますます技術が進化することは間違いない。よりリアルになったポケモンにプレーヤーたちがソーシャルメディア上で盛り上がり、アプリの活性化に大きく寄与することが期待される。

編集=上田裕資

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