「グローバル都市指標」調査は、いずれも128か国を対象とした2種類のランキングによって構成される。一つは各都市の状況を「個人の幸福度」「経済」「イノベーション」「ガバナンス」の点で評価する「グローバル都市指標(Global Cities Index)」。
もう一つは各都市の将来性について、「ビジネス活動」「人的資源」「情報流通」「文化的経験」「政治的関与」の点から分析した結果で順位を決める「グローバル都市展望(Global Cities Outlook)」だ。
「グローバル都市展望」ランキングでは、モスクワが昨年の35位から10位と大きくランクを上げ、ワシントンD.C.(19位)よりも上位にランクインした。モスクワはまた、資産総額が10億ドル(約1100億円)を超えるビリオネアの数が最も多い都市となっている。
各都市の展望に関して、英国の欧州連合からの離脱(ブレグジット)の影響は大きくなかったと見られている。パリが前回から大幅に順位を上げ、ロンドンよりも上位に入ったことについてA.T. カーニーの調査担当者は、起業家に対する支援体制をはじめ、スタートアップやインキュベーターを重視する環境が整備されてきていることを主な理由に挙げている。
以下、それぞれの指標のランキング上位を紹介する(かっこ内は昨年の順位)
グローバル都市指標
1位(2): ニューヨーク
2位(1): ロンドン
3位(3): パリ
4位(4): 東京
5位(5): 香港
6位(8): シンガポール
7位(7): シカゴ
8位(6): ロサンゼルス
9位(9): 北京
10位(10): ワシントンD.C.
グローバル都市展望
1位(1): サンフランシスコ
2位(2): ニューヨーク
3位(13): パリ
4位(4): ロンドン
5位(3): ボストン
6位(15): メルボルン
7位(9): ミュンヘン
8位(5): ヒューストン
9位(7): ストックホルム
10位(35): モスクワ
東京は23位(昨年は19位)
「グローバルエリート」
同指標はそのほか、グローバル都市と展望の双方のランキングで上位に入った都市を地域別に特定する「グローバルエリート」も明らかにしている。米国とEMEA(欧州・中東・アフリカ)、アジア太平洋の各地域では、以下の都市の名前が挙がった。
南北アメリカ: ニューヨーク、シカゴ、ロサンゼルス、ワシントンD.C.、カナダ、ボストン、サンフランシスコ
EMEA: ロンドン、パリ、ベルリン、モスクワ、アムステルダム
アジア太平洋: 東京、シンガポール、メルボルン、シドニー
EMEAの中にモスクワが入ったことについてA.T. カーニーの調査担当者は、「驚いた人もいるだろうと」指摘。一方で、「モスクワでは大学レベルのテクノロジー・インキュベーターが主導的な役割を果たしている。また、ビジネスが円滑に行えるという点に関して、ガバナンスの面に強みがある」と説明している。