アマゾンがシェア7割を握る「音声アシスタント」市場の行方

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調査企業eMarketerは先月、アマゾンエコーが今年の年末までに、音声アシスタントデバイス市場で70.6%のシェアを獲得すると予測した。一方、グーグルホームのシェアは23.8%に達すると見られている。アップルが先日発表したホームポッド(HomePod)のリリースは今年の12月とされており、年内のこの市場にはほとんど影響を与えないと予測される。

しかし、この予測が正しいかどうかは今後の動き次第だ。グーグルはグーグルホームの売り出しに躍起になっており、先日も新たな音声コマンドのショートカットを追加した。先日のグーグルI/Oでグーグルは、参加した7000名の開発者らにグーグルホームを無料で配布し、700ドル分のグーグルクラウドプラットフォームの利用クレジットを与え、ホーム向けのアプリの開発を促している。

この市場で先行したアマゾンも黙って見ている訳ではない。アマゾンはアマゾンエコーの機能追加に余念が無く、リマインダーの追加等の新機能の実装を行っている。

アマゾンエコーにはアレクサの音声アシスタントを用いて、簡単に予定を追加することが可能だ。一般的には「アレクサ、○○を○月○日の○時にリマインドして」命令するわけだが、もっと単純に「アレクサ、○○をリマインドして」と命令すれば、何日の何時にリマインドするべきかをアレクサ側が問いかけてくれる。

また、未来の予定に関してアレクサに尋ねることもできる。「アレクサ、僕の明日のリマインダーには何がある?」といった具合だ。指定した時間が来ると、エコーは優しい通知音を鳴らしアレクサが「○○の時間です」とボイスで知らせる。しかし、通知は2回再生されるが、聴き逃してしまった場合は対処の仕様が無い。また、職場での予定をリマインダーに加えても、アマゾンエコーを職場に持って行かない限り意味がないことになる。

エコーのアプリを使用して聴き逃した通知を受け取ることは可能だが、これもあまりスマートな解決策とは言えない。また、IFTTTのレシピを利用してエコーから、普段利用しているカレンダーに通知を送る、もしくはメールで知らせる方法もあるが、これもまた最善の方法とは言い難い。

グーグルホームに関しても解決すべき課題はある。グーグルホームは現状ではカレンダーの予定の追加に対応しておらず(今後の対応待ちの状態)、これがアマゾンエコーと比較した場合の最大の弱点だ。しかし、この点が改善されれば、グーグルのエコシステムを利用して場所を問わず通知が受け取れることになり、アマゾンに対する最大のアドバンテージになる。

グーグルホームは今後、ユーザーが家に居ても職場に居ても、GmaiやAllo、さらにはグーグルカレンダーと連携させて通知を受け取れるようになるため、アマゾンよりも利便性は高いデバイスになる。しかし、アマゾンエコーはグーグルのようなエコシステムを持たないため、同様の動作は期待できないのだ。

冒頭で述べたように現状ではアマゾンエコーが音声アシスタントデバイス市場を強力にリードしている。しかし、今後この市場にグーグルホームやアップルのホームポッドがどう食い込んでいくかが大いに注目される。

編集=上田裕資

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