異なる分野からファッションの世界に飛び込むことは、恐らくブレットにとってもルーベにとっても、大きな利点となるだろう。彼らはまず、自分たちにどのような知識が不足しているかを理解することから始めることになる。
自社ブランドを現在と将来の顧客にとって「レレバンス(関連性)」を感じられるものにするため、ターゲットとするのはどの消費者層であるか、その層が望むものは何かなど、基礎的なことから学び始める必要があるのだ。
そして、社内には「消費者中心に考える」という文化を築かなくてはならない。自分たちは顧客にリードされるという姿勢が必要だ。これは、明確なビジョンを持ったデザイナーらが自身をリーダーと捉え、消費者は後に続くものだと位置付けてきたファッション業界においては、一般的な考え方ではない。
現在のファッション市場で、全てにおいて力を持つのは消費者だ。企業ではない。異なる分野から新たな経営トップを招いた両社の取締役会は、自社の企業文化を今のファッション市場に適応させるための新たな方法を、近く着任する後継者たちが取り入れてくれることに賭けている。