明るくハキハキした話し方と親しみやすいルックスで人気のサグは、2009年に美容やファッションに関するブログとYouTubeチャンネルを開設。それ以来、自宅で撮った映像を配信し続けており、2017年4月時点で同チャンネルの購読者数は1,170万人を超える。今サグが住んでいるブライトンの家はベッドルームだけで5部屋もある大豪邸だ。
530万以上の再生回数を誇る、ゴールドのアイシャドウとベリー色のリップの塗り方を説明するメイク動画は、「知っての通り、私はエキスパートではありません」の一言から始まる。プロのメイクアップアーティストではなく、あくまでもおしゃべり好きの美容マニアという立場はスタート当初から変わらない。ドラッグストアで大量に買い込んだ(ネット用語では「ホール=haulしてきた」)化粧品をレビューしたり、プチプラコスメもデパートの高級コスメも同じように紹介したりする姿勢が、ミレニアル世代とZ世代の支持を集めている。
2012年には、日常の出来事を配信するセカンドチャンネル「MoreZoella」を開設。こちらには現在、450万人以上のチャンネル登録者がおり、(動画は入念に編集されているとはいえ)オープンな人柄がファンの心を掴んでいる。
ファッションとライフスタイル系インフルエンサーのネットワーク「StyleHaul」を運営するステファニー・ホルバチェフスキーは、サグの人気の秘密を「信用できるところ」と話す。「人々が得られる娯楽が無数に存在する今、コミュニティを築いているのは彼女たちインフルエンサーです」
初の小説もベストセラーに
サグの人気はオンラインにとどまらない。2014年に発表した初の小説「Girl Online」は、英国内で過去最高の初週売上を記録し、ニューヨーク・タイムズのベストセラー入りも果たした。2015年、2016年に刊行された続編も好評だ。さらに2014年には、英国のドラッグストアチェーン大手のスーパードラッグ(Superdrug)と組んで、若い女性を対象としたブランド「Zoella」を開始。キャンドルから絵文字を形どったアクセサリーまで幅広い商品50点をヒットさせている。
サグはまた、自身の不安障害やパニック発作についても発信してきた。タブーとされがちなこれらの問題に対する人々の意識を高めたとして、英国のメンタルヘルス関連の慈善団体マインド(Mind)から、同団体初のデジタル・アンバサダーに任命されている。
2012年に投稿され、400万回以上再生されている動画の中で、サグは次のように語っている。「カメラに向かって10分から20分間話せて、それを無数の人が見るインターネットに発信できるような人間は、自信や自尊心に満ちあふれていて、リアルでも完璧な生活を送っていて、常に幸せそうに笑っているに違いない、と思われがちです。でもそれは事実ではありません。人には、外から見えている部分以外にも色々とあるのです」
フォーブスの「インフルエンサーランキング」で美容部門の2位はメイク系YouTuberの元祖で、化粧品サンプルの定期購入サービスIpsyを創業したミシェル・ファンだった。また、3位にはブロガーとして有名になり、キム・カーダシアンも愛用するコスメブランドを立ち上げたドバイ在住のフーダ・カッタン(Huda Kattan)が入った。