ビジネス

2017.06.09

拡大するコワーキングスペース市場、サービスは「ハイブリッド化」へ

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さまざまな業種の個人やグループがオフィスを共有するコワーキングスペースは、世界全体での利用者数が2017年末時点までに約120万人に達すると見込まれている。また、同時期までには世界各地で、合わせて1万4000か所が稼働していることになると予想される。

コワーキングスペース全体の60%程度が利益を上げていない状況だとされるが、働く場所を共有するというこのサービスはこの10年間、大きなトレンドとなっている。当初はニッチ市場だったコワーキングスペースは、オフィスを一つのサービスとして提供することで、従来型のオフィスのデザインや利用形態も変えようとしているのだ。

コワーキングスペース市場をリードするウィワーク(WeWork)は、スタートアップ企業やフリーランサーを中心とする約10万人の会員向けに130か所以上でスペースを提供している。また、同社は先ごろ、自社が管理するオフィスビル「88 University Place」の全スペースをIBMに貸し出すことで合意したと発表した。収益性の高い法人向け市場のシェア拡大を図っている。

ニーズの拡大と相次ぐ新規参入

コワーキングスペース市場ではここ数年、ウィワークの他にも、将来の「職場」を形作ろうという目標を掲げたいくつかの革新的なサービス提供者が登場している。その代表格がノーテル(Knotel)だ。

エドワード・シェンデロビッチチとアモル・サルバの二人のシリアル・アントレプレナー(次々と起業する人)が創業した同社は、「サービスとしての本社機能」という新たな発想の下、顧客である中規模企業のニーズの変化に対応可能なオフィス・スペースを提供している。

ノーテルの顧客企業は、高い保証金の支払いや長期の賃貸契約なしで、すぐに新たなオフィスで業務を開始することができる。また、利用中はスペースを管理するノーテルの専任サービス担当者による迅速なサポートを受けることが可能だ。さらに、顧客はそれぞれの企業文化や社風に合わせてスペースをコーディネートでき、各社のブランドが際立つようなデザインを採用することができる。

ノーテルは創業からわずか1年半足らずで、シリーズAラウンドで2500万ドル(約27億3000万円)を調達。それにより、ニューヨーク市を中心とした15か所に総面積約2万3200平方メートルのスペースを提供している。
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編集 = 木内涼子

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