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モーター・ジャーナリスト、作家、テレビ番組の司会者

レクサス LC500。LCは“Lexus Coupe”の略とは言われるが、裏の意味は“Lexus Challenge”だ。

初めてレクサスLCの市販車を見たときに、鳥肌が立った。そのV8エンジンのうなり声を胸に感じたときも、背筋に電流が走った─。

2012年のデトロイト・モーター・ショーにデビューしたコンセプトカーそのままじゃないか。レクサスがこれまで出した中で一番美しいクルマに違いない。日本の新車と出会ってこんなに感動することはめったにない。

なんでそんなに驚くのかって? コンセプトカーが、一流モーターショーの舞台から、ほとんど姿を変えずに市販車としてショールームに登場することは不可能に近いからだ。まるでパリコレのランウェイルックが、そのままあなたの近くのショップに登場するのと同じことだから。

とにかく迫力満点のレクサスLCは、不可能を可能にした不思議なクルマだ。今回は、なかなか日本車のスタイリングを褒めない僕の海外の同僚たちも、あまりのショックで唖然とした。そのシャープでエッジな外観は賛否両論で好き嫌いははっきりするが、僕は好きだ。

できあがったデザインとレクサスの美しさへの挑戦を褒める同僚は多かった。「カッコいい! いったい、このデザインはどこから湧いてきたんだ?」と、辛口のドイツ人ジャーナリストも衝撃を受けていた。

レクサスのライナップの中で、限定スーパーカーのLFAやRCなどはスポーツ系でシャープな外観ではあるもののカッコイイとまでは言えず、残りのラインアップは、正直なところ外観がかなりシンプルで保守的と言える。LCは、そんなレクサスのデザイナーの夢の中から現実世界に現れたかのようなクルマなのだ。

レクサスの代表的なスピンドル・グリルは、目立って存在感はあったが、決してカッコよくはなかった。まるでダースベーダーのヘルメットのようだった。しかし、LCのスピンドル・グリルは違う。そのシャープなノースに妙に合っているし、フロントのバンパーからテールに流れる曲線に無駄がなく美しい。

こんなにエッジが効いて滑らかな外観が、厳しいデザイン・プロセスをどう切り抜けられたのだろう──ここに、豊田章男社長の登場だ。

2011年、顧客の嗜好を探るために彼はアメリカに出かけたと聞く。そこでわかったことは、既存のレクサスの形はユーザー層の期待には十分に応えていなかったということ。社長は「これからのレクサスには、もっと美しさと感動が必要だ。レクサスには革命が必要!」と、デザイン部を鼓舞したらしい。

その成果が、2012年に登場したLF-LCコンセプトだった。そして、自動車の世界を唖然とさせたそのクルマが、なんとそのまま登場したのだ。この外観なら、臆することなくベンチマークのBMW650iに並んだと言える。

なぜデザインとイメージをここまで思い切り変更できたのか。それは、新開発のFRプラットフォームを搭載しているからだ。やはり、基本構造が違うと、デザインも室内もパワートレーンも色々と挑戦できるわけだ。LCの名前自体も、Lexus Coupeの略とは言われるが、裏の意味は“Lexus Challenge”だ。なるほど!

内装にも力を入れている。スーパーカーのLFAのコクピットやゲージにインスパイアされている部分も多く、質感もトリムもレクサスが得意とする技術を採用している。本革、アルカンタラやステッチなどが室内をゴージャスにしているが、残念ながら、インフォテインメントは遅れている。操作方法が複雑で、例えば一度ラジオの局を選択して走り出してしまうと、局は変えられなくなる。

文=ピーター・ライオン 写真=レクサス提供

 

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