報道によると、ピンタレストの企業価値は2015年4月のシリーズGラウンドの際と同額の株価で算定されたという。当時、ピンタレストの企業価値は110億ドルと算定されていた。今回の評価額が前回のそれを上回った理由について同社は、前回よりも発行株式数が増えているためとした。ピンタレストは従業員の報酬として新規株式を発行していたという。
Pitchbookのデータによると今年2月、ピンタレストの出資元のHartford Financial Services Groupは同社の株価を一株32.31ドルと算定していた。これはシリーズGの調達ラウンドの際から10%低い株価だった。ピンタレストはこれまで楽天やアンドリーセン・ホロウィッツ、Bessemer Venture Partners 、SV Angelらから合計で15億ドル近くを調達している。
「アイデアのデジタルカタログ」を標榜するピンタレストは、1億7500万人の月間ユーザーを抱え、料理のレシピや衣類、家具、旅行やDIY等のライフスタイル関連のアイデアをデジタルの「ピン」で保存するサービスを提供している。
ピンタレストには商品を直接購入出来る、お買い物ピン「Buyable Pins」も装備され、気になる商品をその場で注文可能だ。報道によるとピンタレストは今年、売上5億ドル突破を目標としているという。昨年の売上は3億ドル、2015年の売上は1億ドルだったと伝えられている。
楽天も出資。グローバル展開を加速中
資金調達のアナウンスと同時にピンタレストは、モバイル経由の検索が前年同期比で40%増となったと発表した。一検索あたりの売上も年初から倍増したという。今年2月にはスマートフォン向けアプリに新機能のLensを投入。スマホのカメラで撮影した品物と類似した、ピンタレスト上のアイテムを表示する機能を導入した。調達した資金で今後、画像認識テクノロジーの向上を行い、ユーザーの利便性を拡大していくという。
ピンタレストは従来よりも、没入性の高いコンテンツや広告の拡充を進めている。昨年夏に同社は動画広告を立ち上げ、今後の事業の柱としたい考えだ。市場リサーチ企業のL2によると、広告主らは2018年に128億ドルをデジタル動画広告に注ぐと予測され、これは2016年と比較すると77億ドルの伸びとなっている。
ピンタレストCEOのBen Silbermannは今年2月に次のように述べた。「ピンタレストにおいてはビジュアルが全てだ。料理にしろ、ファッションにしろ、ビジュアルを通じた発見から全てが始まると考えている」
同社にとってもう一つの課題がグローバル進出だ。ピンタレストの全ユーザーのうち60%が米国外の利用者で、海外向けのローカライズにも意欲的に取り組んでいる。