サニングデールといえば、マツ、ナラ、ギョリュウモドキ、ハリエニシダなどの草木が有名だ。オールド・コースがある場所は、以前はケンブリッジ大学のセント・ジョンズ・カレッジの敷地で、さらにその前は農場だったとあって、ほとんどが草木に覆われている。
そもそもこのクラブは、ゴルフコース建設に適していないと考えられていた丘、草原、森林を切り倒して開かれたと『The Sunningdale Centenary(サニングデールの100年史)』に書かれていた。
この資料では、ウィリー・パーク・ジュニアは冬のイングランドの太陽の位置を意識して設計できていたのか、特に朝の7番ホールと夕方の3番ホールは太陽の低さがプレイに影響しているのではないかといった分析がされていて、大変面白い。また、有名な12番のグリーンは、ハリー・コルトの時代に左側に移されたとの記録もある。
ハリー・コルトによって改修された7番ホールは、深い森へ挑むドッグレッグとなっている。
サニングデールでは、メンバーのプライバシーを尊重するため、金曜日から日曜日にかけてのプレイはメンバーとそのゲストだけに限定している。平日も予約や支払条件が厳しくなっており、我々がオールド・コースでプレイできたのは、まさに千載一遇のチャンスであった。
せっかくなので、後方のバックティーからスタートした。狭い上に、あちこちに生えているギョリュウモドキとハリエニシダに悩まされ、なんとかスコアは100を切ったほど難しいコースであった。さらに眺望も素晴らしく、一段と高い位置にセットされている10番ホールは圧巻だった。メンバーから「友人と秋の1日を散歩するには最高の場所だ」と聞いていたが、さもありなんと感銘を受けた。
リンクスだけではなく、インランドにもこんなに素晴らしいコースがあるのだと、ゴルフの奥深さに脱帽するばかりである。
ゴルフの奥深さを物語る、最高のコース
サニングデール・ゴルフ・クラブは、ヒースロー空港から南西へ約15km、広大な森林地帯ウィンザー・グレイト・パークの近くにある。オールド・コースは、全長6618ヤード、パー70。国際トーナメントの舞台となることが多い。クラブハウスには英国を代表する名士が集っている。
格式ある佇まいのクラブハウス。館内には"球聖"ボビー・ジョーンズの功績を称える部屋が設けられている。
こいずみ・やすろう◎FiNC代表取締役CSO/CFO。東京大学経済学部卒。日本興業銀行、ゴールドマン・サックスで計28年活躍。現役中から、インターナショナルスクール・オブ・アジア軽井沢・発起人、TABLE FOR TWO Internationalのアドバイザーなど社会貢献活動にも参加。お金のデザイン社外取締役、WHILL、FC今治のアドバイザー。