電動スケートボードの領域では既に様々なプロダクトが登場しているが、スペクトラが既存の製品と大きく違うのは、世界で初の「人工知能(AI)を搭載した電動スケートボード」をアピールする点だ。スペクトラはユーザーの姿勢を感知して、速度を上げる、減速を行うといった操作が出来る。
Walnutt創業者のHenri Pangはこれまでナインボットや、ホバーボードに関心を持ってきたが、乗りこなすのが難しい点が課題だと考えていた。開発主任を務めたScott Parker は「この製品は特に通勤目的の利用を念頭において開発した。個人の移動を手軽に、楽しいものにしたかった」と話す。「誰でも乗りこなせる電動スケートボードの開発」を目指したという。
筆者個人はスペクトラを実際には試していないが、製品のコンセプトはかなり説得力のあるものに思える。スペクトラはユーザーが前傾姿勢をとると加速し、後ろのめりになると減速する。この製品は車輪内部に格納された極小モーターによって稼働する。スペクトラは4種類のモデル(ミニ、アドバンス、プロ、シルバー)が用意され、それぞれ最高速度やサイズが異なっている。
価格329ドルのミニの場合、重量はわずか約3.4キログラムで長さは約43cmで持ち運びも手軽だ。一方、パワー性能重視のシルバー(1199ドル)は最大で時速約34キロを実現している。
創業者のPangは深センで育ち、香港科技大学でロボット工学を学んだ。開発チームのエンジニアらは深センのドローンメーカーDJIと同じラボで研究を行っているが、ビジネス部門のオペレーションは主に香港やニュヨークを拠点としているという。
Walnuttのチームはスペクトラを世に送り出すにあたり「電動スケートボード界のテスラ」という目標を掲げている。スペクトラには専用アプリも用意され、フレームワークのアップデートも重ねている。
テスラのようにスマートな乗車体験を実現するのが彼らの夢だ。非常に魅力的なコンセプトを持ったこの製品が、どこまでそのアイデアを実現するか、今後を大いに注目したい。