ビジネス

2017.06.07

「まず、遊びから」というアプローチの活用法

「6次元」での「連作ショートショート講座」。「俺もいつかは」と言いつつ、書かない人こそ、是非。


「金融商品」はどうでしょうか。未来のことを考えて、今からお金を金融商品に投資をする。わかる人にはわかるのですが、わからない人には本当にわからない。金融商品に縁のない人たちにわかりやすく伝えるにはどうしたらよいでしょうか。

ある生命保険会社は、オリジナルの人生ゲームをつくったそうです。お金と人生が密接に絡みあったゲームの中で保険や投資がどのように働くのか、わかりやすく体感できます。バーチャルでありながら、リアルな体験ができるのもゲームのよいところです。投資の魅力をもっと伝えやすくするためにも、入り口は遊びを取り入れて、わざと難しくしないというのも手なのではないでしょうか。

遊びを商品やサービスなど、ビジネスに取り入れる動きは新しいことではありません。ゲーミフィケーションという言葉が流行したことは記憶に新しいと思います。ゲーム好きの私にとっては、とても喜ばしいことでした。

しかし、ソーシャルゲームが隆盛していることもあり、遊びの中でも、人間の競争心、射幸心を煽る部分にばかり注目が集まり、遊びの負の部分だけにフォーカスをあてた感じに見えていました。いつしか私の周りでも「ゲームの中毒性をビジネスに悪用している」というような声が聞こえてきて、ゲームや遊びというもの自体の価値を下げてしまっているのではないかと危惧していました。

果たして、遊びやゲームは単に人を誘惑するだけのものなのでしょうか? 私は自分自身の経験から言っても、決してそうではないと強く感じています。

遊びはもちろんその遊技性が着目されます。しかし、それだけではなく、遊びの構成要素には、物語もあれば、頭を活性化させるパズル要素もあれば、さらにはグラフィックの美しさに代表されるアートの要素も持ち合わせています。決して中毒性を持つものだけが遊びではないのです。

「PLAY FIRST」によって改めて遊びやゲームの持つ力に光があたる。ポスト・ゲーミフィケーションのコンセプトにすべく、日々、何が実践できるのかを模索しています。

【連載】電通総研Bチームの「NEW CONCEPT採集」

大山 徹◎株式会社電通 第5CRP局/電通総研Bチーム所属。「Play」特任リサーチャー。近年は「遊びから入る」を自身のテーマとして広告、ワークショップ、ゲームの開発など、幅広く“楽しく”活動中。

文=大山 徹

この記事は 「Forbes JAPAN No.35 2017年6月号(2017/04/25発売)」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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