──これまでTeamIndusは他国の企業とコラボレーションした例はありましたか?
Ramasubban:いいえ、まったくありませんでした。例えば日本のJAXA(宇宙航空開発機構)とNASA(アメリカ航空宇宙局)とか、JAXAとISRO(インド宇宙研究機関)など国家機関はこれまで協力してきていますが、民間の宇宙企業が共同でプロジェクトにのぞむということは、前例がなかったと思います。
そういう意味で言えば、われわれは非常に先駆的で、画期的なことをしているのだと思います。前人未到のプロジェクトに携わるきっかけをくれたHAKUTOには、感謝しています。
──TeamIndusのランダーは、月面への着陸の方法がたいへんユニークだと聞いています。詳細について、聞かせていただけませんか?
Ramasubban:ランダーの着陸方法は機密事項なので、詳しくは話すことはできません。ただ、月面への着陸はとても複雑で難しい技術のひとつだということを理解いただけたらと思います。大きな宇宙開発企業や政府関連機構でも着陸を成功させるのは至難の技です。われわれとしては、最善を尽くすのみ。今後半年もすれば、われわれのランダーの性能をわかっていいただけることでしょう。われわれは着陸の技術を熟知していますし、良い結果をお見せできるはずです。
──無事に月面に着陸した後には、TeamIndusとHAKUTOはレースを競うライバルにもなるかとも思います。月面を探査するローバーの開発状況はいかがですか?
Ramasubban:TeamIndusのローバーについては品質試験をほぼ終えた段階で、最終フライトモデルの製作を始めています。先日もインドにある複合施設で各種テストを行ないました。
3年後には膨大な収益が出ている
──TeamIndusは、宇宙関連事業のエキスパートや若きエンジニアたちが集結したインドを代表する天才集団であると聞いていますが、メンバーはどんな人たちから成り立っているのですか?
Ramasubban:TeamIndusは2011年に設立されました。当初、20人ほどのメンバーでプロジェクトをスタートさせましたが、現在では120人近くのチームに成長しています。私たちのチーム構成はとてもユニークです。メンバーのうち、25人ほどは宇宙開発に関する経験が40年以上あるベテラン。そこには、インドでトップクラスの能力を誇る元ISRO職員も含まれています。
宇宙開発の経験年数の合計だけみれば、1000年近い集団なんです。最近では、世界各国の大学を卒業したばかりの優秀なエンジニアも何人か入りました。決断も行動も早い。非常にダイナミックなチームです。
──インド国内ではTeamIndusのブロジェクトはどのように評価されていますか?
Ramasubban:ナレンドラ・モディ首相や州政府関係者は、TeamIndusを「インドにおける宇宙産業の新しいパイオニア企業」と紹介してくれています。おかげで、世界各国で活動する機会も増えています。最近では宇宙事業のみならず、インドのイノベーションを代表するチームとしても注目されています。
──Google Lunar XPRIZE以後のTeamIndusのめざす宇宙ビジネスは?
Ramasubban:今後はより本格的に宇宙関連ビジネスを展開していきたいと考えています。すでに今回のレースでもこのビジネスはスタートしていますが、宇宙船のペイロードの販売が中心になると考えています。すでにTeamIndusの宇宙ビジネスは収益が出始めていて、3年後には膨大な利益を得るまでに成長しているはずです。
*Forbes JAPANは、月面探査用ロボットの打ち上げまで、HAKUTOプロジェクトの動きを追いかけていく。
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