ビジネス

2017.06.07

形を変えて進化を続ける「日焼け」ビジネス

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しかし、あるときこの日焼けを宣伝するポスター自体が、日焼けで色あせてしまい、印刷屋がインクの日焼け対策を考え始めた──それが日本のUV対策美容の原点といわれている。

ポスターの印刷が退色してはビジネスとして困る、モデルもかわいそうだ。ということで開発された紫外線吸収剤や紫外線散乱成分が、現在のUV対策美容、ひいては美白美容のはじまりなのだ。現在この技術が応用され、化粧品やヘアトリートメントなどがたくさん発売されている。

話は変わるが、近年、あるメガネ会社がどうしても売上が伸びないので、メガネが不要な人について研究に研究を重ねた結果、「パソコン利用者が多い現代。メガネが不要で、パソコン利用する人にどうやってメガネをかけさせるか」がキーワードが浮上した。そして、いわゆる“PCメガネ”が登場。一世を風靡している。これもまた、日焼け色のファンデーションやインクの日焼け対策と同じの“逆転の発想”マーケティングである。

いつの時代も、新しいビジネスが生まれる。その“芽”を見つける手段としては、日本と世界を見比べるのも一つの手だろう。

以前、海外のお土産で父親に洒落たモノトーンの写真立てを買ってきたことがある。しかし渡した途端「俺はまだ死んでないぞ」と言葉が返ってきた。モノトーンと取るのか不祝儀と見るのか文化の違いが面白い。

似たような話で、アメリカ人男性と日本の挙式に出席してハッとした思い出がある。アメリカにはないご祝儀の風習だからか、NY出身の彼は“happy marriage”と書かれたブラック&ホワイトの祝儀袋を出していた──受付の親戚もゲストに恥かかせないように、それは大変だったと思う。

UV対策から進んで、美白の美容ビジネスも国が変われば考え方が異なる。次回はそんな話をしてみたい。

文=朝吹大

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