世界競争力センター所長、アルトゥロ・ブリス教授は、今年のランキングで注目すべき点の1つは米国の転落だと指摘している。この原因となったのがトランプ政権の誕生で、調査対象となった米国の企業経営陣は主要分野で否定的な感情を示していた。
「米国の場合、政権に関しての否定的な感情とまではいかずとも、多くの不安要素が存在しているのは確かだ」とブリスは語る。「例えば、米国では保護主義や貿易に対する国の開放度、社会的一体性までが顕著に低下していることが示されている」
海外における米国のイメージに関するビジネス経営者らの評価も同様に低下していた。「これは新大統領の就任と保護主義の強化、これから何が起きるか分からない不透明さが要因となっている」とブリス。
こうした慎重な見方は、トランプ政権が提案した特定の政策への反応というわけではなく、これから実施される政策とその潜在的な影響が不透明なことに起因するとブリスは説明している。
一方、今年のランキングで注目すべき前向きな点の1つは、中国本土が昨年から7つ順位を上げたことだ。ブリスはフォーブスに対し「マクロ経済的な条件が大きく改善した」と語っている。
「中国では多くの雇用機会が創出され、生産性が向上し、国内での給与も増加しており、その業績は目覚ましい。次に挙げられるのが、規制改革や、新たな汚職対策、そして透明性だ。これらはIMDの調査や客観的データにも明確に示されている」
ランキングの下位には、政治・経済的苦難を経験中の国が入った。「ニュースで政治的な問題が取り上げられるウクライナ(60位)、ブラジル(61位)、ベネズエラ(63位)のような国は予想できるだろう。こうした問題は政府の効率性低下につながり、ランキングの地位を下げている」とブリスは述べた。