「ネクタイ」は顔ほどに物を言う?

シルクを専業とする会社を傘下にもつエルメネジルドゼニアの艶やかなタイ。23,000円〜29,000円(すべて、エルメネジルドゼニア)


小暮:森岡さん、タイは、よく贈答品としても使われますね。でもタイだけがひとり歩きするような色や柄のタイを頂くと、合わせるスーツに困ってしまったこと、ありませんか?

森岡:実業家のパーソナルスタイリングをお手伝いしていたとき、300本くらい、タイをお持ちだったんですが、お持ちのスーツを考慮してタイを厳選したら、残ったのは20本くらい。いらないと判断したものはほとんどが贈られたタイでした(笑)。

小暮:女性はタイだけを見て選ぶケースが多いですからね。そういう意味では、ゼニアのタイは贈答品としても最適なタイと言えますね。

森岡:クオリティ、信頼感、ともに出来上がっているブランドですからね、ゼニアは。

小暮:スーツの流行を熟知するブランドだから、タイをつくっても、スーツと好相性なんですね。

森岡:本来、ネクタイは脇役ではなく、主役級になるくらい、センスが問われるもの。だってノットがきれいに結べているだけで、カッコよく見えるものです、ビジネススタイルでは。

小暮:英国王室御用達のデザイナー、ハーディ・エイミスは「ネクタイはそれを締めている人よりも一歩先に部屋に入ってくる」と。欧州ではタイを「クラバット」と呼びますが、これはフランス語の「クロアチア」が訛ったもので、17世紀、ルイ14世に謁見したクロアチアの兵隊が首に飾っていた布がタイの起源です。

森岡:男の顔でもあり、アイコンでもあるわけです。だからアメリカの新大統領はあんな長い真っ赤なタイを締めているんです。

小暮:歴代大統領はパワータイとして、よく赤を選びますが、あれは自分たちを鼓舞するパワーではなく、圧力を感じさせるタイですね(笑)。





森岡 弘(左)◎『メンズクラブ』にてファッションエディターの修業を積んだ後、1996年に独立。株式会社グローブを設立し、広告、雑誌、タレント、文化人、政治家、実業家などのスタイリングを行う。ファッションを中心に活躍の場を広げ現在に至る。

小暮昌弘(右)◎1957年生まれ。埼玉県出身。法政大学卒業。1982年、株式会社婦人画報社(現ハースト婦人画報社)に入社。83年から『メンズクラブ』編集部へ。2006年から07年まで『メンズクラブ』編集長。09年よりフリーランスの編集者に。

文 = 小暮昌弘 スタイリング=森岡 弘 編集=高城昭夫 写真=Masahiro Okamura

この記事は 「Forbes JAPAN No.35 2017年6月号(2017/04/25発売)」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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