ローラー型の美顔器「GloPRO」の開発に乗り出したのは2012年。「GloPRO」のヘッド部分にはマイクロニードルと呼ばれる微細な突起が540個あり、これらの突起による刺激が肌のターンオーバーとコラーゲン生成を促進する。オバニオンは、ユーザーが痛みを感じることなく最大のアンチエイジング効果を得られる形状を追究し、時間をかけてテストを重ねた。「肌は美容成分を通しません。高価なスキンケア用品をただ塗布しても、表面に留まり、洗い流されるだけです。GloPROを使うことで有効成分が肌の奥に届き、吸収率が200倍になります」(ビューティー・バイオサイエンスは41-64歳の女性が「GloPRO」を1日1分、週3日使った場合、シワが30%減少すると宣伝している)
美容業界の名門「ガシー・レンカー」の支援も
マーケティング面では2015年、ガシー・レンカー(Guthy-Renker)の出資を受けたことが追い風になった。同社はニキビケア用品のプロアクティブや、シンディ・クロフォードがプロデュースするアンチエイジング化粧品Meaningful Beautyなどの通販番組を手がけるダイレクトマーケティング会社だ。
2016年4月、「GloPRO」はHSNで初公開された。オバニオンは、下半分に濃いピンク色、上半分に薄いピンク色の粒状チョコレートを敷き詰めた透明のガラスの花瓶を持って出演し、上から銀色の棒を刺しながら、「GloPRO」のマイクロニードルが角質層を抜けて肌の奥深くに浸透する様子を再現した。「(専門知識を持たない)すべての視聴者に仕組みを理解してもらう必要がありました」とオバニオンは言う。わかりやすい説明が功を奏し、「GloPRO」は番組終了10分前に完売した。
現在、「GloPRO」はHSNで視聴者に直接販売する他、ニーマン・マーカス、バーグドーフ・グッドマン、ノードストロームなどの百貨店にも卸している。2017年の年商は、昨年の倍の6000万ドル(約66億円)に達する勢いだ。会社の40%を所有していると見られるオバニオンの推定資産額は5000万ドル(約56億円)。フォーブスの「一代で富を築いた米国の女性富豪ランキング」入りも遠い夢ではない。オバニオンは言う。「長期戦に挑むことになるでしょう。成功したと言えるのはブランドを築き上げてからです」