ADHDの従業員を成功に導く2つのこつ

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私は、読者からマネジメント関連の問題について意見を聞くのがいつも楽しみだ。教科書やビジネスジャーナルからは学べないような情報と個人的見解を得ることができるからだ。

先日、カイル・ネルソンから便りをもらったときも、このような気持ちになった。私が2012年に執筆したADHD(注意欠陥多動性障害)のある従業員のマネジメントに関する記事を目にした彼は「時間管理の部分を読んで、私のキャリアが大きく変わりました」と書いていた。

カイルは、ADHD当事者として働いてきた経験を元に『What I Wish I Knew About ADHD Growing Up(ADHDについて子ども時代に知っておけばよかったと思うこと)』という記事を執筆していた。

マネジメントにおいて、ADHDはこれから重要度を増す一方だ。米疾病対策センター(CDC)によると、米国では4歳〜17歳の間でADHDと診断された子どもは約11%に上ると推定される。ADHDの兆候を理解しているマネジャーはより効果的に対応でき、従業員の生産性を向上させられる。ADHDへの理解は、従業員、マネジャー、組織全体の利益となる。

カイルが私に送ってくれた記事は、率直で見識にあふれ、素晴らしい内容だった。特にその中でも、マネジメントにとって重要な教訓として、時間管理と責任の2つの分野が応用可能性も広く共有の価値もあると感じた。

1. 時間管理

ADHDの従業員は気が散ってしまうと締め切りにすぐ影響が出ることを、マネジャーは特に意識する必要がある。カイルはADHDのある人は「タスク完了までに自分が思うよりも長い時間がかかる」と説明している。

「準備の仕方についてだけでなく、自分が他人と比べて気が散りやすいこと、平均的な人よりもはるかに長い時間がかかることに気づけたことが、真の教訓だった。同僚が2~3時間でできることも、自分の場合は1日の大半、時には丸一日かかることもある。人と同じレベルの結果を出すためにより長い時間がかかることから、これは問題だった」

「仕事には深刻な影響があった。プロジェクトの締め切りは守れず、スピーチで失敗し、人事の人と仲良くなるほど問題を起こした。進歩していると自分に言い聞かせていたが、心の底ではそうでないことが分かっていた。自分にはどれだけ時間が必要かに気付くことで、少ない労力でより入念に準備するやり方と戦略を構築することができた」

私からマネジャーに向けたコメントとしては、タスクを完了するのに人一倍時間がかかるからといって、成果物の質が低いとは限らないことに注意してほしい。ADHD当事者である私の元部下は本当に素晴らしい人材で、会社にとって貴重な存在だった。締め切りの延長も時には必要だったが、十分にその価値があった。

カイルの記事に話を戻そう。彼は最終的に、自分の価値を向上させ、自らのキャリアを変革するためのある戦略を身に付けた。
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編集=遠藤宗生

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