【視点1】 経営戦略的な視点で不動産投資を捉える
不動産投資に興味があり、学ぶ意欲もある。だが、全体像がつかみきれず、何から手をつけたらいいかがわからないという人は少なくない。そんなとき、役に立つのが「経営戦略的な視点」である。不動産投資をひとつの事業として捉え、「3C分析」や「SWOT分析」といった経営戦略のフレームワークを駆使し、戦略を検討する。
「不動産投資で最も気をつけるべきは、『この物件がいい』という思い込みで判断力を鈍らせることです。経営戦略的な視点でフレームワークを活用すれば、検討すべき課題が冷静に整理でき、適切な判断を下しやすくなります」(プロパティエージェント 常務取締役 野呂田義尚氏)
【視点2】 パートナーとしての不動産会社を見極める
不動産業者の良し悪しで、不動産投資のリスクは大きく変動する。では、信頼できる不動産会社をどうやって選べばいいのか? 判断材料のひとつとしてぜひチェックしておきたいのが、メールマガジンやセミナーである。集客ありきなのか、それとも投資のパートナーとしてしっかりサポートしてくれるのか。その内容にもじっくり目を通したい。
「私たちはメールマガジンやセミナー、教本のご提供などを通じて知識や情報を提供する一方で、お客様にも相応の勉強をしていただきます。投資家自身が豊富な知識を備え、自身が目指す方向性にしてはじめて、不動産は非常に堅実な投資になり得るのです」(水戸大家さん代表取締役 峯島忠昭氏)
【視点3】 リスク分散しやすい「都心の中古ワンルームマンション投資」
不動産投資を成功させるには最低限、「立地の選択」を誤らないことが求められる。交通のアクセスがよく、環境のいいエリアはいつの時代にも一定の需要があるからだ。もっとも、立地の良さと物件価格は比例する。そんな中、投資商品としての価値が下がりにくく、一戸あたりの購入金額が抑えられる投資先として注目されているのが「都心の中古ワンルームマンション投資」である。
「東京都心部の優良中古ワンルームマンションの場合、空室リスクが極めて低いうえ、レバレッジもかけられます。ひとつの優良物件を足がかりに、自己資金を過剰に投資することなく、複数のマンションを所有し、資産を積み上げていくことも可能なのです」(日本不動産イニシアティブ 代表取締役 澁谷賢一氏)
【視点4】 家賃収入が下がっても、土地が残る「アパート投資」
不動産を長期保有する場合、建物の経過年数とともに家賃収入は下がる。しかし、将来も人口が増え続ける街、あるいは流動性の高い資産になりうる土地がある地域――東京の一部エリアにおける「アパート投資」なら、土地が残る。つまり、アパートの賃料収入でキャッシュフローを回しながら、最後まで価値が残る土地の所有権を獲得できるのだ。
「不動産は他の投資に比べて、堅実だと言われますが、それは土地に価値があってこそです。建物の価値が減っても、土地が残る。さらに土地を担保にしてアパートを建てると、持ち出し資金がないため、超高利回りの物件を新たに生むという選択肢もあるのです」(Presi 代表取締役 石井雄也氏)
【視点5】 投資モデルの新たなかたち「区分所有オフィス®」
不動産所有の新しいかたちとして注目を集める「区分所有オフィス®」。ビルをフロアごと、あるいは部屋ごとに分譲するというスタイルである。また、都心のビルをフロアに区分し、さらに一口100万円(最小500万円)からの投資用に小口化した投資商品「Vシェア®」も新たに登場。運用益やキャピタルゲインも同じように享受できる。
「ビル一棟を所有すると、その物件と命運を共にすることになり、エリアに何か問題があれば、物件の価値を失ってしまうこともあります。しかし、『区分所有オフィス』なら、複数組み合わせて保有し、リスクを分散することもできます。また、相続税対策をしつつ、将来の円満分割に備えるといった使い方もできます」(ボルテックス取締役アセットマネジメント本部長 天崎日出雄)
一口に「不動産投資」といっても、その選択肢は驚くほど多岐にわたる。不動産投資の方法も大きく様変わりしている。情報をしっかり集め、不動産投資の「今」をつかみ、冷静に判断を下す。それこそが、何よりのリスク回避策となるだろう。