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2017.05.26

台湾に続き「同性婚」を認めるアジアの国は?

Syda Productions / shutterstock.com

台湾の司法院大法官会議は5月24日、「自由と平等の権利に基づき同性婚は認められるべきであり、国会はそれを実現しなくてはならない」との判断を下した。同性婚が法制化されればアジア諸国で初めてとなる。地元のLGBT団体は近隣諸国もこの流れに追随してほしいと願っている。

「今回の判断の影響は大きい。他国の活動家の動きにも注目したい」と台湾伴侶権益推動連盟(Taiwan. Alliance to Promote Civil Partnership Rights)の秘書長である簡至潔は言う。

台湾に続く国で最も有力なのがタイで、カンボジアも追随するかもしれない。その他のアジア諸国の事情を下記に解説する。

中国やラオス、北朝鮮などの国は市民運動を規制しているため、政府が同性婚を完全に認める事態は起きにくいだろう。また、一神教信仰が強い国でも同性婚はなかなか認められない。インドネシアとマレーシアは民主主義国家ではあるが、イスラム教徒が多数を占める。

南アジアや中東の国々もイスラム教徒の多い国がほとんどだ。韓国では一夫一妻制を尊重するキリスト教系宗教の信者がおよそ4分の1を占める。フィリピンでは同性婚合法化の動きがあったが、国際人権NGO「ヒューマン・ライツ・ウォッチ」によるとドゥテルテ大統領はカトリック教徒の多い国のトップとして同性婚には反対の立場をとっている。

日本も「民主主義の多文化的な要素が欠如しているため難しい」と台湾の長栄大学のJens Damm副教授は指摘する。台湾では1990年代に中国との違いを示すために非主流派団体を尊重する動きが高まり、LGBTムーブメントが活発化した。

LGBTシーンが活発なタイでは5年前に学者や活動家たちが同性婚の合法化の草案を作ったが、当時の政府は保守色が強すぎた。しかし、2015年にジェンダーや性的指向による差別を禁じるジェンダー平等法が施行され、同性婚の合法化に向けた動きも再び活性化しそうだ。

カンボジアも同性婚の合法化が実現しそうな国だ。カンボジアは伝統的に同性愛に寛容的な国だ。2011年に行われたLGBTツーリズムのキャンペーンで観光省の担当者は「カンボジアは性別による差別の無い風土であり、この動きを支援したい」と話した。

編集=上田裕資

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