メッシと父親のホルヘ・メッシは複数のペーパーカンパニーを設立し、脱税に利用していたとして起訴された。この件により深く関与していたとされるのは父親だが、当局に協力的な態度を示したことを理由として、最高裁は父親には禁固1年3月を言い渡した。スペインでは脱税などで有罪が確定した場合も禁固2年未満であれば執行猶予が付くことから、親子が収監されることはないと見られている。
国・個人を問わず重要なものがある
私たちは有罪が確定したメッシ親子から、いくつかのことを学ぶことができる。そのうち驚くほど普遍的なことと言えるのが、「説明責任は果たさなければならない」「透明性は堅持しなければならない」ということだ。
最も重要な問題の一つは、「最終的な説明責任」だ。専門家のアドバイスに頼るほど複雑な状況にある人でも、完全に責任を免れることはできないだろう。
メッシは裁判で当初、(問題とされたさまざまな点を)「ただ単に理解していなかった」と主張。書かれている内容を読みもせずに、数多くの書類に署名したと説明した。公証人の事務所に行ったことなどについても、目的も分からないまま行動したと証言している。訪問の実際の目的は、自身の資産管理会社の設立だった。
こうした主張は米国でも同様に、通用しない可能性がある。内国歳入庁(IRS)によると、問題となるのは疑いをかけられた当人が、認識しているはずの法的義務に自発的、または故意に、違反したのかどうかという点だ。
確定申告に必要なものを調べる努力を怠り、同時に何かを隠そうとしていたのであれば、違反行為は意図的だったと判断することができる。「故意の無知」、つまり「確定申告に必要な事柄について知ることを避けるため、意図的に対策を講じた」ということが認められれば、それだけでも意図的な違反行為だったと結論付けるのに十分とされる可能性があるのだ。スペイン検察は、メッシの行動はこれに該当するとの見方を示した。