シリコンバレーの流行語「モート」に学ぶ、効果的な比喩の使い方

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ビジネスの説明で比喩を活用し楽しむこともできる。以前私はインテルの経営陣から、同社初の「デュアルコア」コンピューターチップ発表について相談を受けた。難しかったのは、1つのチップに2つのプロセッサーコアがある、ということをどう説明すれば一般消費者に分かってもらえるかということだ。

われわれは次のような例え話で説明した。マイクロプロセッサーはコンピューターにとって脳のようなもので、デュアルコアチップはまるでノートパソコンに脳が2つあるようなもの。一方である機能を処理する間に、もう一方で別の処理ができる。これは「~のような」「まるで~」といった言葉を使う直喩表現だ。

われわれはデュアルコアがどれだけパソコンを速くするか、一般ユーザーにとって何を意味するかを説明した。メディアやブロガーはしばしば、全く同じ比喩表現を使って商品について伝えた。例えばロイターの記事では、私たちの説明そのままに「デュアルコアプロセッサーには脳が1つでなく2つある」と書いている。

このインテルでの経験から、科学や数学、エンジニアリング業界の用語を一般消費者に理解してもらうためには、シンプルな言葉や比喩を使う必要があることが分かった。

比喩で難しいのは、的確な表現を思いつくまでブレインストーミングをする必要がある点だ。そしていったん良い比喩が見つかると、その表現は繰り返し使用され、すぐに使い古されて陳腐な表現となり、効力を失ってしまう。「モート」という言葉はすぐに投資家に飽きられ、それに替わる新たな比喩表現が出てくるはずだ。

複雑で抽象的な話を説明する際に比喩を使うことは、リーダー、教育者、科学者、そしていかなる分野でのコミュニケーターにとっても大切だ。重要なのは、聞き手があっと驚き、そのトピックについて違った側面から考えるように仕向けられるユニークな比喩を見つけることだ。

編集=遠藤宗生

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