<ステップ2> メタモデルを使う
「このタスクは難し過ぎる」など、具体性に欠ける言葉をよく聞くが、相手がどういう意味で「難し過ぎる」と言っているのか理解していると思い込んでしまうことが多い。
これを聞いたソフトウエアプログラマーは、MSワードの改良版を自社開発するよう頼まれたと受け取ってしまうかもしれない。一方であなたは、単にタスクを終わらせるのにもう少し時間がかかると受け取るかもしれない。私たちはそれぞれ先入観を持っている。
どういう意味で言ったのかを明確にしないことには、効果的な支援はできない。その鍵となるのが、神経言語学で「メタモデル」と呼ばれるものだ。メタモデルを使えば、世界を他者の視点から見ることができる。
メタモデルで使われる「具体的に/どのように」「誰にとって/何に対して」といった質問を応用すれば、次のような質問ができる。
・「あなたが難し過ぎると感じているこのタスクは具体的にどんなもの?」
・「このタスクは具体的にどう難し過ぎる?」
・「具体的に何と比較して難し過ぎる?」
<ステップ3> 相手が表現しやすいようにする
聞くことは双方向の行為だ。こちらの言うこと次第では相手が楽に自分を表現できるようになり、自分の言うことが聞いてもらえていると感じやすくなる。そのためには、効果的なコミュニケーションには安心感、所属意識、そして相手を尊重する意識という3つの感情体験が重要だということを理解する必要がある。
1. 安心感
コミュニケーション当事者が安心感を持っていないと、「動物モード」(自分が生き残ることだけに集中した状態)に入ってしまう可能性が高い。この状態にある人は、防御的・攻撃的な言動や衝突回避に出て、自分の言いたいことを互いに正直に話す代わりに、自分の身を守ることに注力してしまう。
2. 所属意識
所属意識を十分に感じていないと、人は言いたいことを言おうとせず、人の言うことにも耳を貸さなくなる。人間には、同僚や同業者、友人、家族など、同じ場所に所属する人とつながり支えられたいという欲求がある。
3. 相手を尊重する意識
コミュニケーションの当事者同士が、相手に自分自身の重要性を感じさせることができなければ、聞いてくれている・理解されている・尊重されていると感じることが難しい。人間は、自分が評価されている、存在意義がある、意義あることに貢献できると感じたいものだ。
こうした要素は人間の脳、そして職場・家庭・人生全般において能力を発揮するために欠かせない。私たちは全てのコミュニケーションで無意識にこの3つを強化し、深めようとしている。
本物の聞き上手になるためには、相手の立場に立って考えようとすることが肝心だ。ここで紹介した3つのステップを実行すれば、人との会話がより楽しく充実するものになるだろう。