大麻関連の情報を提供する専門ニュースサイト「マリフアナ・ビジネス・デイリー」は、闇市場も含めた大麻の総需要を450億~500億ドル(約5兆~5兆5600億円)規模と推計している。
同サイトがまとめた報告書によれば、米国のアイスクリームの年間売上高は、およそ51億ドル。映画チケットの売上高は同111億ドル、スナック菓子(ドリトス、チートスなど)は同49億ドル程度とされており、嗜好(しこう)用大麻はこれらを大幅に上回ることになる見通しだ。
報告書はまた、「全米で合法化されれば、需要は現時点での予想をさらに大きく上回り、それほど長い時間を置かずに、たばこ、さらにはビールの売上高を超えるまでになるだろう」と指摘する。
合法的に販売された医療用・嗜好用の大麻の2016年の売上高は、40億~45億ドルに上ったと見られている。これは、すでに音楽ストリーミングサービスの売上高、25億ドルを上回る金額だ。
波及効果にも期待
関連産業がいかに大規模に成長したかを示すもう一つの基準となるのが、関連ビジネスに従事する就業者の数だ。報告書によれば、大麻関連の事業に従事する人は現在、フルタイムとパートタイムを合わせて約16万5000~23万人。「米国内にはパン職人やマッサージ療法士、歯科衛生士よりも、この業界で働く人の方が多い」という。
雇用が増えることには、経済面での波及効果もある。大麻を合法化した州で関連産業に従事するようになった人たちは、収入を住宅や食料品、旅行や娯楽での支出に充てている。それにより、州内のその他の産業も後押ししているのだ。これらの州では関連企業の設立により、空き家が目立っていた地域でも不動産ブームが起きている。また、観光客の増加による新たな収入ももたらされている。
報告書は、医療用大麻の調剤薬局で消費者が支払う1ドルは、その薬局が所在する自治体や州、あるいは国に3ドル相当の経済的利益をもたらすと試算している。自治体や州政府は大麻関連の事業者から得る税収によって予算の穴を埋め、インフラの再整備や学校に対する支援の強化などを行っている。
ただ、同業界には懸念事項もある。ドナルド・トランプ大統領だ。同大統領の下で司法省が取り締まりを強化すれば、売り上げには深刻な影響が及ぶことになる。