アリババが他社の顧客サービス改善のために、自社が蓄積したデータや知見を提供するという形で戦略的提携を結ぶのは、玩具メーカーの米マテルに続いて2社目。マテルはアリババのプラットフォームを利用して中国国内で製品を販売し、アリババのデータを基に同国の消費者の好みに合わせた製品を提供する。
年間の総取引額が4500億ドル(約49兆6680億円)を上回るアリババは、中国の消費パターンに関する膨大なデータベースを保有している。提携企業はこのデータから、中国の消費者の好みをより深く理解し、それに合わせて自社製品を変更することができる。
データと知見の収益化
アリババは中国市場での事業拡大を目指す外国企業にプラットフォームを提供するだけでなく、データや知見の提供にも注力していく方針だと見られている。ペプシコとマテルとの契約に関する詳細は明らかにされていないが、アリババは外国企業にこれらを提供することで、新たな収入源を確保したのだ。
電子商取引を小売業から切り離すことはできない。ペプシコのような世界的大手でさえ、オンラインチャネルを開発し、顧客ベースを拡大しようとしている。アリババの顧客データから知見を得ることで、ペプシコは製品の刷新やブランドの構築を図り、それによって中国での成長を促進していくことができる。一方のアリババはペプシとの提携について、「中国の食品・飲料業界で進むデジタル変革を後押しするものだ」と見ている。
規制が複雑な中国市場への進出は、外国企業にとっては難しいともいえる。ただ、それでもアリババのプラットフォームを利用することで、多くの企業が同市場への参入に成功してきた。そして、こうした企業は同市場での成長を実現するために、中国の消費者の好みを理解し、変化し続ける顧客トレンドに適応していく必要がある。
アリババが持つ豊富なデータは、中国進出を目指す外国企業にとって大いに役立つものとなるだろう。アリババのクラウドコンピューティング事業はすでに、多額の売上高を記録している。顧客企業を増やしていくことで、アリババがこれまでに蓄積したデータや知見は、長期的には同社にとっての重要な収入源の一つになっていくと考えられる。