自分の職務経歴書やリンクトインのプロフィールの中でこの言葉を使おうと考えていたなら、それはやめるべきだ。すでに使っているなら、すぐにでも削除した方がいい。その理由は、以下に示すとおりだ。
1. 自ら名乗る必要がない
戦争の英雄も聖人も天才も、あえて自分から名乗り出なくても、そういう人はそういう人だ。あなたの考えることが自然に、「ソートリーダー」であることを周囲に伝えてくれる。
2. 「リーダー気取り」だと見透かされる
自分が他の誰かのようになりたがっていることを、他人に知られたい人はいない。世界はより良い自分を目指す人であふれている。それは歓迎すべきことだ。だが、自分に目指すものがあることを明言すると同時に「指導者」であると公言することは、本質的に矛盾している。
3. 自信がないと思われる
どんな場合でも、素晴らしさを強調する紙のように薄っぺらな主張より、内に秘めた自信の方が魅力的だ。
4. すでに無意味な言葉になっている
もし全員が「ソートリーダー」なら、誰もソートリーダーではないということになる。次々と事業を立ち上げる起業家を指す「シリアル・アントレプレナー」や、「ソーシャルメディア専門家」、あらゆる言葉の前置きに使われる「経験豊富な」などと同様、すでに意味のない言葉になっている。
5. 「本物」は常に反発を受ける
それどころか、嫌われる場合もある。恐らくこれが最も重要な点だ。本当に革新的なアイデアはほぼ必ず、当初は不等な扱いを受ける。「ソートリーダー」を名乗る多くの人たちが昔の英雄たちと同様に、本当に思想的に人を率いているのか、疑わしいと思えるのはそのためだ。次に挙げる人たちの例について、考えてみてほしい。
・進化論を提唱した英国の自然科学者チャールズ・ダーウィンは、教会からの猛烈な反対に遭った。
・ガリレオの「地球は太陽の周りを回っている」との公転に関する主張は正しいにもかかわらず、多くの人が反発した。
・物流大手フェデックスの創業者フレッド・スミスは、学生のころに事業計画を立て、教授に提出した。だが、評価点は低かった。教授からは、「興味深い概念だ。よくまとめられている。しかし、C以上の評価を得るためには、実現可能なアイデアでなくてはならない」と言われたという。
・中国の電子商取引最大手アリババ・グループの創業者、ジャック・マー会長は決済システムに関する自身の考えについて、反発を受けた。
「決済サービスのアリペイ(支付宝)について何人かの人たちと議論したが、ばかげた考えだと言われた」
──自分のすべきことが何か、きっと分かっただろう。