このように「街をフィールドに変える」というのはとても楽しいことだし、東京オリンピックの機運が高まるいまこそ良い方法だと思う。東京も23区+26市5町8村がそれぞれの地形の特徴を生かして、たとえば神田川でカヌーとか、代々木公園で3on3のバスケットとか、東京ではないけれど熱海でF1とか、楽しめる新スポーツ大会を開催したらどうだろう。そのうえ街が元気になり、観光客も誘致できるわけで、素晴らしいことこの上ないと思うのだけど。
僕は以前から、ゴルフを街中でやったらどうかなと考えている。「ティーショットは半蔵門、最終ホールは渋谷のスクランブル交差点」というような大がかりな計画で、これは市民ではなく、プロに参加してほしい。当然、ゴルフボールがビルの窓を割ることもあるけれど、「これ、タイガー・ウッズのOBの跡なんだ」とか、むしろオフィスの財産になるかもしれません(笑)。
街ぐるみの「スポーツの祭典」を
街を盛り上げるのに忘れてはならないスポーツがある。マラソンだ。
1896年、アテネで開催された第1回夏季オリンピックで、ギリシャの故事にちなんで、マラトンからアテネ・パナシナイコ競技場までの競争が加えられた。これがマラソンの始まりである。翌97年にはボストンマラソンが開催、現在では規定タイムを達成した“選ばれたランナー”しか参加できない大会となった。以降、世界で多くの大会が開かれている。
主だったものだけでも、世界最大の市民マラソン(完走者数50000人)であるニューヨークシティマラソン(70年〜)、参加者の過半数近くを日本人が占めるホノルルマラソン(73年〜)、平坦な高速コースとして知られるシカゴマラソン(77年〜)、ファンランナーの仮装が楽しいロンドンマラソン(81年〜)など。東京マラソンも07年にスタートしたが、いまは抽選に当たらないと嘆く人でいっぱいだ。
僕はホノルルマラソンのハーフに出場したことがある。マラソンの何がいいかというと、ランナーだけでなく、声援してくれる側もお祭りに参加している気分でモチベーションが上がるのがとってもいい。紀元前776年にアテネで始まった古代オリンピックは、ギリシャ語では「オリュンピア大祭」とも呼ぶらしい。つまり、古代からスポーツを街で楽しむことは、イコール「お祭り」なのだ。