4月7日に定められたこの日は、1933年、時の米国大統領フランクリン・ルーズベルトが長きに渡る禁酒法時代に終止符を打つカレン=ハリソン法に(3月22日に)署名し、米国でビールの製造・販売が解禁されたことに由来する。
署名後ルーズベルトは、側近のルイス・ハウに「これはビールにとって良い時代の幕開けだ」と述べたという。その数か月間は禁酒法の効力が続いていたものの、ビールやワインを合法的に飲めることとなった米国民は喜びに沸いた。
日本でも馴染みの深いこのアルコール飲料について、切っても切り離せない“税”の話題も含む15のトリビアを紹介しよう。
1. ビールに初めて税金を課したのはエジプト文明だと言われている。女王クレオパトラは、当時国民の間で増加していた飲酒量を減らすという名目で法的に税金を課したが、集められた税金はローマとの戦争につぎ込まれた。
2. ビールは米国で最もポピュラーなアルコール飲料だ。2016年のギャラップ調査によると、アルコール飲料を摂取する米国人の43%が、最も好むアルコール飲料はビールである、と答えている。ちなみにワインは32%、蒸留酒が20%という結果だった。2015年、米政府は、国産と輸入ビールに対する税金として36億ドル(約4000億円)を徴収している。
3. 1695年、英国はビールに対する税額を引き上げ、その結果、ジンが英国内で最も安いアルコール飲料となった。当時のジンに対する税額が1ガロン(約3.8L)あたり2ペニーだったのに対し、ビールは1ガロンあたり4シリング9ペニー。この差によって生じた酒類間の価格差は、18世紀の英国、特に貧困層の深刻な飲酒問題の主要因になったと言われている。
4. 米国では、ビールの小売価格の実に40%が、生産・物流・販売に課される税金によって占められている。連邦酒税はビール1バレル(約117L)あたり18ドル、またはアルコール分1オンス(約30cc)あたり10セントであり、平均アルコール分4.5%として試算すると、ビール1杯あたりの連邦酒税は約5セントとなる。
5. ドイツビールのラベルには、「Gebraut nach dem Bayerischen Reinheitsgebot von 1516(1516年に制定されたビール純粋令を遵守している)」との表記がよく見られる。
同法は、ドイツ国内で生産されるビールの原材料を麦芽、ホップ、イースト、水のみに限定し、政府によるビールへの課税も規定したもので、1919年のドイツ税法へ正式に組み込まれたが、EU加盟時にそのほとんどは無効化された。
6. 南北戦争にかかる費用を賄うため、合衆国議会はビールに課税した。リンカーン大統領時代に導入された1862年歳入法では、すべてのビール、ラガービール、エールビール、ポータービール、および同様の醸造酒に対し、それらのアルコール飲料の名称にかかわらず、税金を課した。
国民には不評だろうが、ビールへの課税は経済的な見地からは有効な政策といえる。現在の米国では、ビールやその他の麦芽飲料の国内における生産と販売から、485億ドル(約5兆5000億円)以上の税収がある。
7. ギネス創業家のアーサー・ギネス2世は、一家に伝わるビール醸造方法に手を加え、黒麦芽の代わりにローストした発芽前の大麦を使用した。発芽前の大麦は課税対象ではなく、それがギネス家に有利に働くと同時に、ユニークなテイストのビールを誕生させることとなった。19世紀末までに、ギネスはヨーロッパ最大のビール醸造所となった。