著しく成長する若手社員向けには「ライト・パス制度」がある。成長と昇進スピードを合わせるものだ。高い可能性を秘めた若手を早い段階で発掘することができる。また、一度退社した人が復職できる「カムバック・パス制度」がある。
こうした制度が機能しているのは、文化を隅々まで浸透させる「多面評価制度」があるからだろう。上司だけでなく、他部署を含む同僚が人事評価をする制度だ。給与の”見える化”を実践しているGMOインターネットの「360度評価」に似ているが、人事評価がなぜ企業カルチャーをつくることになるのか。
創業2年目に社員数が増えたため、経営陣だけで評価できなくなったことをきっかけに導入したが、牧野はこう話す。
「人間の評価はどうしても主観的になります。多面評価を使うと、各々の主観が一斉に混じりますが、その主観に対してもっとも影響を与えられるのが、会社の文化です。制度がうまくいかなければ、文化が浸透していない証拠。最初のうちは評価に対して、『これは真実だろうか』と、答え合わせをしていました。文化の浸透度合いを測りながら、ある時期から答え合わせをする必要がなくなりました」
この制度なら、自分の能力を人に伝えることが求められ、コミュニケーション能力を磨くことにもつながる。牧野は、「デメリットは上司の影響力が低下し、コントロールしにくくなる点」と言う。この制度は、ヒエラルキーが強く、上司が絶大な組織には適さないのだ。
こうした社員の才能や可能性を引き出す企業文化があるか。ここに成長企業と成熟企業の差を見た思いがした。
ワークスアプリケーションズの働き方
1. 採用の際に大風呂敷を広げないことで、ミスマッチを防ぐ
2. 仕事は自己管理型フレックスで、自律性を求める
3. 多面評価制度によって、企業文化の浸透を図る