社内の業務をIT化した結果、売り上げを1.5倍まで伸ばし、人件費を約40%圧縮することに成功した老舗旅館・元湯陣屋。クラウドを活用した「数字を上げる」働き方改革の事例を紹介しよう。神奈川県の元湯陣屋は、大正7年から続く老舗旅館だ。かつては10億円の負債を抱え、経営破綻の危機に陥った過去を持つ。しかし2010年にセールスフォース・ドットコム社の「Salesforce」を導入し、クラウドシステムを構築して以降、業績は回復。年間2億9170万円程度だった陣屋の売り上げは、2016年には1.5倍の4億4860万円を記録した。
この改革の旗振り役を務めたのが、2009年に社長へ就任した宮崎富夫氏。彼はエンジニアとして働いていた経験を生かし、強い意志をもって社内業務のIT化を断行した。
宮崎氏がSalesforceの導入を決定した頃、陣屋の従業員のほとんどはITに馴染みがなかった。「パソコンに触れたことすらない」という中高年もいたという。
「従業員のなかに、タブレットやパソコンの操作が得意な人を育て、彼らが周りの人々に教える環境をつくりました。そして、丁寧に、何度でも同じことを教える姿勢を貫いたんです。はじめは反発もありましたが、とにかくITを使い続け、慣れてもらったことが成功に繋がりましたね」と、宮崎氏は振り返る。
クラウド改革による「働き方」の変化クラウドによって業務が効率化されたことで、従業員数は120名から40名まで減り、人件費は約40%に圧縮された。一方で、一人当たりの年収は増えている。システム導入前、従業員の平均年収は288万円だったが、現在は約400万円に。当然、従業員のモチベーションは上がった。
「人を減らすとサービスの質が落ちると考えがちですが、当社の場合は、むしろ以前よりサービスの質が向上しました」(宮崎氏)。
さらにIT化は、従業員の意識を変え、働き方を変化させた。かつては、作業が集中しボトルネック化しているセクションがある一方で、別のセクションの従業員は暇を持て余していることが多々あった。しかし今は、職場全体の業務状況をクラウドシステム上で確認できる。手の空いた従業員は、全体の状況を確認し、自発的に忙しい部署を手伝うようになった。
改革が成功した理由とはビザ・ワールドワイド・ジャパンの安渕聖司代表は、陣屋がクラウド改革に成功した要因について、次のように述べている。
「ITに不慣れな従業員に対して『これを導入することで、6カ月後、9カ月後、どのように職場が改善されるのか。そのために今、このシステムを使って何をしなければいけないのか』を明確に伝えたということが重要です。
さらに、システムの構築を外注に頼らず、社長自ら管理した点は、大いに参考にすべきです。現場の問題点を把握しているからこそ、より実用的なシステムをつくることができたのでしょう。」
クラウドシステムを使って業務改革——そう聞くと「うちにはできっこない」と感じる方も多いだろう。
だが、陣屋以外にも業務改革を成功させ、業績アップにつなげた企業は多数ある。
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