トランプ大統領が欠くリーダーの資質、それは「平静さ」

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トランプは、自身の政権を大企業のCEOたちで固めたいようだ。彼は自分を他のビジネスリーダーと同類だと考えたがっているが、そこには大きな違いがある。こうしたCEOの大半が公開会社を率いる一方で、トランプが率いていたのは同族経営の企業。他のCEOの上には役員会や株主がいるのに対し、トランプの上には誰もいない。

私がこれまで共に働いた重役の多くは、上司によって時間をかけて成長させられてきた人々だった。こうした上司は、部下に挑戦を与え、相談に乗り、新たな成長機会を与えると同時に、部下が失敗した時には戒めを与えてきた。そうした「失敗」の中には、部下を不当に扱うといったことも含まれる。トランプはそういった教えを受けたことがない。

トランプは、同族経営的かつ禁じ手無しの組織運営法をホワイトハウスに持ち込んだ。政権内の内紛の話題は大手紙の1面を飾り、ニュース放送局では速報として取り上げられた。その一因は、政権メンバーたちも同じく子供じみた考えを持ち、メディアで大々的に取り上げられることでトランプの気を引こうとしていたことにあった。しかし、メディア報道が確かであるならば、政権内には今、恐怖が広まりつつある。

皮肉なことに、強硬なリーダーシップスタイルは長く続かない。少しの間威張り散らすことはできても、すぐに効果はなくなる。良識ある人々はそんな人の下で働くことにうんざりし、離れていく。残るのは、他に行く場所がないという理由だけで忠実な態度をとる取り巻きだけだ。

意見をめぐる対立は健全なものになり得る。意見の不一致は議論を生む。一方で、人物をめぐる対立は憎悪を生み出し、個人に、そして最終的には組織に破壊的影響をもたらし得る。

そんなやり方では、事業を、ましてや国を運営することなど決してできない。

編集=遠藤宗生

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