同会委員は18人のメンバーで構成され、EPAの科学者らがまとめた研究結果の見直しや評価を担当する。EPAは退任することになった委員たちに「3年間の任期満了に伴う退任」であることをメールで通知したというが、今年1月にはこれらの委員に対し、任期の延長を伝えていた。
トランプ政権で新たに就任した(地球温暖化に懐疑的な)スコット・プルイットEPA長官は、諮問委員を務めてきた研究者や科学者たちに代えて、化学薬品や化石燃料を扱う企業の代表を委員に迎えるかもしれない。そうなれば、科学界は委員らの「解任」を、規制緩和を進めたい政府の方針のためだと考えるだろう。
米調査機関ピュー・リサーチは今年3月、科学に関する知識の有無が気候変動やエネルギー問題に対する考え方にどの程度影響しているかについて行った調査結果を発表した(調査期間は昨年5~6月)。この結果を基準に考えれば、EPAの諮問委員の交代も、共和党員らにとってはそれほど大きな問題ではないということなのだろう。
気候変動が海面上昇や海岸浸食につながっていると思うかと尋ねたところ、科学的知識が豊富な民主党員と共和党員(党に所属しない各党支持者も含む)のうち、「そう思う」と答えた人の割合はそれぞれ、75%、27%だった。
こうした傾向は他の質問に対する回答にも見られ、科学的知識の程度が「低~高」の全てのレベルで、共和党員には気候変動とさまざまな現象との関連性を否定する傾向がみられた。以下、ピュー・リサーチの調査結果の一部を紹介する。
科学の知識レベルと気候変動に関わる問題への考え方
(科学に関する知識レベルを1─高、2─中、3─低、とする。数字は記載の見解に対し、「そう思う」と答えた人の割合)
「気候変動は、海面上昇や海岸浸食を招いていると思う」
民主党: 1─75%、2─62%、3─33%
共和党: 1─27%、2─25%、3─28%
「暴風雨などは一層激しさを増すと思う」
民主党: 1─74%、2─57%、3─37%
共和党: 1─19%、2─27%、3─33%
「野生動物やその生息地が悪影響を受ける」
民主党: 1─73%、2─61%、3─36%
共和党: 1─27%、2─31%、3─27%
「干ばつによる被害や水不足の問題が深刻化する」
民主党: 1─71%、2─60%、3─43%
共和党: 1─29%、2─30%、3─17%
注記:共和党員と民主党員には、いずれかの支持者だが政党には属していない人を含む。