世界の二酸化炭素(CO2)排出量を業界別に見た場合、アパレル業界は排出量全体の10%以上を占め、石油業界に次ぐ第2位となっている。排出量の問題はアパレル業界にとって、決して小さな問題ではない。
3兆ドル(約342兆円)規模のアパレル業界は、さらに拡大を続けている。世界の人口は増加しており、21世紀半ばまでには100億人に達する見通しだ。そして、その全ての人たちが、衣料品を必要とする。
一方、米国のファッション業界で働く人の数は、およそ400万人。米国の一般的な世帯は2016年、衣料品・靴の購入に約2000ドル(約22万円)を費やした。米国の衣料品の輸入量は世界第1位で、国内で販売されている衣料品の40%近くは、中国から輸入している。
米環境保護庁(EPA)によれば、米国で廃棄される衣料品の量は年間1310万トンに上る。そのうち寄付やリサイクルに回されるのは、わずか15%だ。また、2日に1回の衣類の洗濯・乾燥によるCO2排出量は、年間およそ440kgになる。世界の全人口が同じだけのCO2を排出しているとすれば、年間の排出量は数十億トンに上ることになる。
特許出願中の「フィリウム」で対策に貢献
エーブリーは、衣類に関連するこうしたCO2の排出量を、半分にまで削減することが可能だと考えている。環境にやさしい同社の製品は、特許出願中の「フィリウム(Filium)」という撥水加工技術を採用。コットンやウール、シルクをはじめとする天然素材の柔らかさや通気性を損なわないまま、汚れやにおいが付きにくい状態を維持することができる。そのため、数週間にわたって洗濯をせずに着ることができる。
エーブリーの共同創業者であり、フィリウム技術の共同開発者でもあるラジ・シャーは、「環境汚染という世界が抱える大きな問題と闘うために、エーブリーとフィリウムを作った」と語る。「持続可能な方法で生産され、長期にわたって使用することができる高品質の衣類を消費者に提供したい」という。