小暮:ここ数年、スリーピースのスーツが増えていますね。
森岡:私もパーソナルスタイリングのお手伝いをするときに、上下のスーツの場合でもベストがあれば一緒に購入することを薦めています。スリーピースのスーツって、実は面白いんです。ベストを外せば、普通のスーツになりますし、ジャケットとベストだけ一緒にしてボトムスに違うものを合わせるのもお洒落です。これはベストがダブルなので、ベストだけほかのスーツを組み合わせてもいいでしょう。スーツの柄がチェックだから、パンツだけをほかのジャケットを組み合わせることも可能。とっても“使える”便利で投資効果の高いスーツなんですよ。
小暮:このスーツの着こなしで気をつけることやオススメの組み合わせはありますか?
森岡:こういうスーツをビジネスで着るときにはシャツとタイは遊ばないことです。スーツに主張がありますから、頑張りすぎは仕事着から離れ、英国オタクのコスプレになってしまいます。
小暮:そうか、英国のビジネスマンは派手なシャツとタイをよくするけれど、それは普通のスーツに対して。このような英国調のスーツにはもっとシンプルに攻めたほうがいいのですね。
森岡:休日に、タートルネックのセーターなどを合わせても素敵ですよ。ベストに艶感があるので、ちょっとしたパーティにも着ていけるのでは。でも全身、英国調で決めないほうが、絶対、今の気分だと思います。
小暮:そうか、ドレスアップだけかと思ったら、ドレスダウンにも着こなせるわけだ。
森岡:英国調=トラッドとか、英国調は退屈だと思わせないサムシングがある、それが今の英国調のスーツだと思います。
森岡 弘(左)◎『メンズクラブ』にてファッションエディターの修業を積んだ後、1996年に独立。株式会社グローブを設立し、広告、雑誌、タレント、文化人、政治家、実業家などのスタイリングを行う。ファッションを中心に活躍の場を広げ現在に至る。
小暮昌弘(右)◎1957年生まれ。埼玉県出身。法政大学卒業。1982年、(株)婦人画報社(現ハースト婦人画報社)に入社。83年から『メンズクラブ』編集部へ。2006年から2007年まで『メンズクラブ』編集長。2009年よりフリーランスの編集者に。