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オールド・コースの一番ティーに立つと、まず度肝を抜かれるのがフェアウェイ右側に並ぶ墓地である。スライサーや、海からの風にあおられた場合は、ティーショットがこの墓地に吸い込まれていくであろう。シングルプレイヤーで、風が全く吹いていなければそこそこのスコアで回れる可能性はあるが、オンショアのゲールでも吹こうものなら、その日のスコアは忘れたほうが良い。

私はカシェン・コースでまさにその洗礼を受けた。すさまじいゲールのなか、風対策でティーショットは全部3番ウッド(スプーン)か5番ウッドを使い、フェアウェイの真ん中を目指して低いボールを打ち込んだ。「ふむふむ。さすが、数々のリンクスで勉強してきただけ賢くなった」などと満足げにフェアウェイを歩き、打ったはずの地点に向かうと、まったくボールが見当たらない。なんと、最初の9ホールですべてボールをロストするという経験ができた!

7番ホールからプレイ終了後の一杯のギネスビールまでは、バリーバニオン以上に素晴らしいコースはないと多くのゴルファーがうなずくところである。


10番ホールから11番ホールにかけて続くグリーンの風景。オンショアのゲールに対する腕が試される。

ローラーコースターのような11番ホールもそうであるが、フィニッシングに近い17番ホールは特に美しい。その海を見渡せるベンチには「CTH」と書かれたベンチがある。キャディーに聞くと、このコースをこよなく愛したメンバーが、生前「ここは一番天国に近い場所だ(Closest To the Heaven)」と言っていたことを記念して、遺族がプレゼントしたとのことである。

ケンブリッジ大学ゴルフ部のホームコース「Sacred Nine」のときにも紹介したが、簡単ながらも奥深いメッセージがベンチに刻まれているようなリンクスの魅力は筆舌に尽くし難い。まったく飽きないどころか、往訪するたびに心酔してしまう。

この世のものとは思えない、類いまれなる美しさ

バリーバニオン・ゴルフ・クラブは、アイルランドの交通の要所・シャノン空港から約50km南西へ離れた海岸沿いにある。約100年の歴史をもつオールド・コースは、全長6366ヤード、パー71。海から吹きつける強風さえ取り込み、野性味あふれる自然がそのまま生かされたリンクスは、かつて“ゴルフ界の帝王”と呼ばれたトム・ワトソンすら虜にした魅力をたたえている。


バリーバニオン・ゴルフ・クラブでプレイする筆者。7番ホールからの美しさは、とりわけ強く印象に残っている。


こいずみ・やすろう◎FiNC 代表取締役CSO/CFO。東京大学経済学部卒。日本興業銀行、ゴールドマン・サックスで計28年活躍。現役中から、インターナショナルスクール・オブ・アジア軽井沢・発起人、TABLE FOR TWO Internationalのアドバイザーなど社会貢献活動にも参加。お金のデザイン社外取締役、WHILL、FC今治のアドバイザー。

小泉泰郎 = 文

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