全米小売業協会(NRF)は毎年、母の日のプレゼントの予算を調査している。7406人を対象に行った今回は、調査を開始した14年前以来、最多となる186.39ドル(約2万1000円)が平均予算との結果が示された。昨年の予算は、平均172.22ドルだった。
今年の母の日に贈るものとしては、スパでの施術やレストランでの食事などが挙げられており、ギフトとしての「体験」の人気が高まっていることが分かる。
NRFの委託を受け、プロスパー・インサイツ(Prosper Insights)が実施した調査によれば、回答者の56%は「レストランでの夕食」を贈る予定であり、予算は総額42億ドルに上る見通し。また、「花を贈る」と答えた人は69%で、購入額は総額26億ドルになると推計される。そのほか、プレゼントするものとして挙げられたものと、回答の全体にそれらが占める割合、推定される購入額の総額は、以下のとおりとなっている。
・「ギフトカード」─45%、25億ドル
・「衣料品」─ 37%、21億ドル
・「家電製品」─ 15%、20億ドル
・「宝飾品類」─ 36%、50億ドル
・「スパなどでのサービス」─ 24%、19億ドル
全体の予算が増加しているのは主に、宝飾品類(19%増)とサービスの体験(15%増)を贈る人が増えているためだ。
小売業界が期待する「イベント」
S&Pグローバル・マーケット・インテリジェンスは今年4月に発表した報告書の中で、「政府の統計によれば、賃金の上昇ととともに、消費者支出もわずかながら増加している」と指摘した。そうした中で、消費者はモノの購入よりもレストランでの食事や観劇など、体験することにより多くを支出する傾向が顕著になってきている。
母親たちの贈り物に対する考え方も、例外ではないようだ。より多くの母親たち(28%)が、今年の母の日には「体験型ギフト」が欲しいと回答(昨年は24%)。35歳未満の若い消費者たちの半数近くが、母親にこうしたプレゼントを計画していると見られる。
さらに、コンサルティング会社アリックスパートナーズの幹部によれば、「需要を喚起するための残された手段がなくなっていく中で、小売各社はさまざまな種類の“休日(イベント)”に対する投資を行っている。母の日もその例外ではない」と述べている。
「米国でも外国でも、何かのイベントに関連した販売への注目度が高まっている…例えば、中国の“独身の日”の売上高は、米国の感謝祭やブラックフライデー、サイバーマンデーといった大型セールの日の売上高を上回るまでになっている」