S・サンドバーグとA・グラントに聞く、人生を狂わせるトラウマからの回復法

(左)シェリル・サンドバーグ(右)アダム・グラント(Photo by Noam Galai / gettyimages)


筆者:自身の経験や、執筆のための調査で話した人の経験を踏まえ、人生におけるトラウマ的な逆境から立ち直るための最初のステップは何だと思いますか?

グラント:「感情予測」に関する研究から、人は感情的な苦痛を感じていると、その苦しみが無限に続くと考える傾向にあることが分かっています。その時点では、悲惨な別れによって人生が永遠に損なわれたように感じ、精神の免疫システムがいずれ発動することや、また感情の処理方法を変えればその働きを促進できるということを忘れてしまうのです。

サンドバーグ:私にとって最も難しかったことの一つは、気持ちがいずれ好転すると信じることでした。日記をつけることで、深い悲しみは永遠に続くものではないことを実感することができました。自分の感情について書くことで、苦しみが和らぐ瞬間があることにも気付きました。「純粋な喜びを感じることはもう決してない」から「純粋な喜びを感じることはもう決してないように今は思える」に変わりました。

2016年は新年の抱負として、毎日うれしかった瞬間を3つ書くようにしました。その小さなノートが、常にひどいことばかり起きているわけではないことを私に証明してくれました。このおかげで、そうした瞬間に自分を気付かせることもできました。うれしいことが起きると「これをノートに書こう」と思うのです。

筆者:回復力に関しての新たな研究や分析はありますか? 発見して最も驚いたことは何でしょうか?

グラント:私のクラスにいたジョー・カスパーという医師が、共同運命(co-destiny)という考え方について修士論文を書きました。誰かを亡くすと、私たちは亡くなった人を追悼して良い行いをしようとし、それがその人の遺産の一部となります。誰かを失った後、多くの人が自分の人生に意義を見出そうと強く考えることは、私も知っていました。ジョーは共同運命の概念を考え出したことで、苦しみにも意味を見出す方法があると教えてくれました。

サンドバーグ:私の一番の助けになったのは、ただ「きっと大丈夫」と言うだけでなく、私が感じている痛みを認めて「一緒にこれを乗り切ろう」と言ってくれた人でした。それからは、私もこの例に倣おうとしてきました。先日がんと診断された友人に私は「これを一人で乗り切るわけじゃない。いつも私がそばにいるから」と伝えました。
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編集=遠藤宗生

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