有機EL超えの次世代ディスプレイに「iPodの生みの親」も出資

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有機ELを超える性能

「我々は、有機ELよりも優れたディスプレイをより低いコストで生産することができる。また、工場の刷新に数十億ドル投資する必要もない」とファデルは言う。

アップルは、かねてよりマイクロLED に興味を示しており、2014年にはマイクロLEDディスプレイメーカーのLuxVue Technologyを買収している。Business Koreaの報道によると、アップルは第3世代アップルウォッチ用としてマイクロLEDディスプレイの量産を開始する予定で、10周年記念モデル以降のiPhone向けにも生産を行うという。

アップルが自前でマイクロLEDディスプレイを生産できるため、RohinniがiPhoneのサプライヤーになることはないだろう。そもそも、Rohinniの現在の生産能力では、スマホ向けのボリュームに対応することはできない。Rohinniは、極小ダイオードを設置するための専用ロボットを30台作ったが、1台当たり30万ドルほどのコストが掛かったため、今後は他社とジョイントベンチャーを組んでマイクロLEDを生産する方針だという。

同社は、これまでにキーボード向けバックライトの生産を開始し、テレビ向けのマイクロLEDディスプレイのプロトタイプも開発した。同社によると、現在スマホとテレビのメーカー数社と交渉をしているという。

ファデルは、アップルでiPodやiPhoneの開発に携わった後、スマートホーム企業のネストを設立した。彼は、コンシューマ製品を作るだけでなく、基盤技術の開発にも強い関心を抱いている。例えば、アップルではiPhoneに搭載するためのマルチタッチ技術を開発する子会社を立ち上げ、その責任者に就任している。

ファデルがアップルを退社後に立ち上げたネストは、グーグルに32億ドルで買収され、現在はアルファベット内の一部門となっている。ファデルは、現在のAIブームが到来する何年も前から、機械学習アルゴリズムを使った自動室温調整技術を開発していた。彼は昨年、アルファベットを退職し、投資家として数多くのスタートアを支援する活動を開始した。アルファベットを退職した理由としては、ネストの業績不振や、内部の混乱、幹部の離脱などが噂されている。

編集=上田裕資

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