フランス新大統領夫妻への反応に見る仏社会の「女性観」

手をつなぐマクロン夫妻(Photo by Chesnot/Getty Images)


「クーガー」との呼び名も

世間やメディア、特にソーシャルメディア上では夫妻について、次のようなコメントが目立つ。

「一緒にいるのはお母さん?」「おかしな関係だと思わない?」「年上の女性を望む男性などいない、あり得ない」

また、マクロン夫妻を若い男性が好きな年配の女性を指す「クーガー」と、先生のお気に入りの生徒を意味する「シュシュ」と呼ぶ人たちもいる。

こうした見方をする人たちについて、エル誌は最新号に掲載した記事で、フランスの「ミソジニー(女性蔑視、女性嫌悪)」を批判している。

さらに、「何千年も前から、高齢男性と若い女性のカップルは世界中を興奮させてきた。一方で、社会は高齢女性と若い男性の夫婦に対しては明らかに、恐ろしく異常な反応をする」と指摘。「私たちはこの男性的で社会性のない、鼻を突くようなユーモアに、今後もずっと耐えていかなければならないのだろうか?」と疑問を呈している。

その問いに対する答えは、「その可能性は非常に高い」だ。ミディリブレ紙は決選投票の結果を受け、「(フランスは)3人の子持ち、7人の孫がいるファーストレディーを迎えることになる」と伝えている。

出会いから結婚まで

マクロンの人生、そして選挙活動のあらゆる面で、控え目にではあるものの、常に存在感を示してきたブリジットは、元フランス語とラテン語の教師だ。1953年4月13日、仏北部アミアンにある有名なチョコレートメーカーを経営する裕福な一家の6人きょうだいの末っ子として生まれた。

二人が出会ったのは、マクロンが15歳、ブリジットが40歳だった1992年。イエズス会系の私立高校の生徒と既婚の教師だった。恋愛関係に発展したきっかけは、ブリジットが顧問を務めていた演劇部の台本を一緒に作ったことだった。

マクロンのブリジットに対する気持ちを知った彼の両親は反対し、息子には18歳になるまで待つよう伝え、パリの高校に転校させた。マクロンはパリに発つ前にブリジットに対し、こう言ったという。

「あなたが何をしようと、僕はあなたと結婚する」

二人はその後も連絡を取り合い、ブリジットはマクロンが18歳になるまでに夫と別れ、パリで新たに教師の職を得た。それ以来、二人は共に人生を歩んでいる。マクロンは結婚式でブリジットの子どもたちに対し、自分たちの関係を受け入れてくれたことに感謝の気持ちを述べ、自分たちが一般的な夫婦ではないことを認めた上で、実際に「存在する」カップルなのだと伝えたという。

編集=木内涼子

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